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緑内障の早期発見に向けた視野検査 実装成果報告【株式会社ファインデックス】

2023.5.12 えひめのあぷり編集部

愛媛県では、アフターコロナを見据え、産業の稼ぐ力の更なる強化のため、デジタル技術やロボットを実装し、地域課題の解決にチャレンジする「デジタル実装加速化プロジェクト」を展開中。

2022年度採択事業者のプロジェクトの成果報告をご紹介します。

日本の失明原因の第1位であり、40歳以上の20人に1人が有病者といわれる緑内障。早期発見・早期治療が重要でありながら、罹患に気付かない人も多い。
この問題の解決に向け、株式会社ファインデックスは緑内障の検査に関するプロジェクトを立ち上げた。
伊予市の協力のもと実施した実装検証の成果を整理し、今後に向けた考察を行う。

▶株式会社ファインデックスの事業紹介記事はこちら

▶株式会社ファインデックスの視野検査実施の様子はこちら

プロジェクト概要

プロジェクトの背景や実装の手段・目的など概要を改めて整理しておく。

緑内障は有病率の高さに反して治療率が非常に低い。また治療以前に、罹患の発見が遅れがちという現実がある。自覚症状に乏しいため、意識的に検査を受けない限り、気付かないまま重症化してしまうこともあるのだ。

本プロジェクトではまず、早期発見を促す検査機会の場を広く設けるため、伊予市主催の健診会場で検査を実施。一定数以上の受検数を集め、そこから得られるデータを分析し、導き出された有用性を以て、市町村の健診で緑内障検査を行う仕組みづくりへとつなげることにした。

受診に関するチラシを、集団健診の問診票に同封したり新聞の折込で配布したりして、呼びかけを実施

伊予市保健センターの集団健診会場

検証ポイントは、緑内障の早期発見・早期治療の実現性と、長期的にみた地域住民の健康増進への寄与、そして医療費削減の見通しである。
今回の伊予市での結果は、他市町村に横展開をするにあたっての指標になると同時に、課題抽出の目的も担う。

視線分析型視野計「GAP/GAP-screener」

検査に用いたのは、愛媛大学工学部・京都大学医学部との共同開発によるゴーグル型の視野計「GAP/GAP-screener」。
省スペース・簡単・短時間の検査を実現した新しい検査方法は、検査者・受検者のいずれにとっても負担が小さく、検査を気軽で身近なものにするという意味でも効果があった。

検査結果データによる考察

(1) 受検者数・検査結果数

検査は伊予市保健センターでの集団健診会場において、2022年8月から10月にかけて計10回実施。
受診に関する結果数値は以下の通り。

●視野検査受診者数(率)
視野検査受診者数/健診受診者数 = 707名/1,146名(61.7%)
→全健診受診者のうち6割以上が視野検査を受診。関心の高さがみられる。

●精密検査受診勧奨数(率)
要精密検査/視野検査受診者数 = 388名/707名(54.9%)
→視野異常が疑われるため、眼科受診を勧奨する人の割合は、視野検査受診者の半数以上という結果に。受診者の平均年齢の高さ(受診者平均年齢64.2歳)の影響も考えられる。
なお、該当者388名のうち、実際に眼科を受診したのは156名(40.2%)

●継続通院者数(率)
要継続通院者/眼科受診者数 = 41名/156名(26.3%)
→眼科受診者のうち、4人に1人が継続通院となった。潜在患者の掘り起こしの成果数。

また、アンケート結果からユーザ満足度を見ると、「満足している」44%、「特に不満はない」48.8%。合計すると90%を超え、高い満足度を得たと判断できる。



(2) 早期発見者数と医療費削減の見立て

前記(1)の結果をもとに、伊予市全市民を対象とし、何らかの眼疾患が見つかると想定される人数を推算する。

伊予市全人口「35,743人」(2023年1月末時点)のうち、眼疾患早期発見者の想定数は「1,150人」。
続いてこれをもとに、削減できる医療費について考察する。
●緑内障患者 入院:外来 = 1:25
→ 上記数値から推算すると、早期発見想定1,150人のうち、入院者数は「46人」
●緑内障患者の入院費用 約53万円/人 
→ 入院費用の総計 53万円×46人=「2,438万円」
早期発見により入院治療が不要になれば、2,438万円の医療費を削減できることになる。


(3) 地域社会への寄与

早期発見の想定数は、言い換えれば、重症化を未然に防ぐことができる見込み数である。それは自治体として、市民の健康増進への寄与につなげられることを意味する。そして重症化を防ぐことは、医療費膨張の防止にもつながる。目指す効果実現の指標となり得る結果だ。

次年度に向けた課題

以上のような成果の一方で、今後に向けての課題も見えてきた。

(1) 検査結果について

検査結果に関しては、「精密検査受診勧奨数」と「継続通院者数」の割合に調整が必要である。
「異常が疑われる」数に対し、最終的に「継続的に眼科での治療が必要」となった数はかなり少ない。眼科の受診割合が低いこともあるが、検討すべき数値といえよう。
ただし「異常」とする判定基準を厳しくすれば、発見率低下ともなり得る。今後、眼科の医師や医療機関・研究機関とも協議を行いながら、調整・検討を進める予定だ。

(2) 検査費用の負担について

そして検査の導入にあたっては、費用の検討も重要だ。工面には二通りの手段がある。
●市町村の予算で無償実施
●健診オプションとして受託事業者が実施し、費用は受診する市民が負担

伊予市は実施結果を高く評価し、緑内障の検査を有用であると捉え、次年度も「市の予算」で検査を継続することを決めた。
しかしながら、今後他市町村へ横展開をしていくには、市民が費用負担をする方法も検討しなければいけない。

市町村が実施する健診では、市民から費用を受け取る仕組みがない。費用が発生するオプション検査の場合、検査を実施する受託事業者が市民から費用を受け取る。

より広く導入していくために、今後は有料で検査を行う仕組みづくりをし、持続可能なビジネスモデルを模索する。

次年度は他の市町村への事例紹介等にプロジェクト経験者として伊予市の協力も仰ぎ、市町村と健診受託事業者の両者に向けてアクションを起こしていく。

目標の達成と洗い出した課題を踏まえ、今後はさらなる拡大と継続を目指してプロジェクトは続く。緑内障のみならず、医療に関する課題が山積する現代社会。医療システムを用いた本プロジェクトの成果が未来を照らす光になることを切に願う。

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