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愛媛県の大三島で初導入!自律航行のエンジン船「WAKKA号」【株式会社エイトノット|実装報告】

2024.6.17 えひめのあぷり編集部

愛媛県では、下記3つの観点から、デジタル・ソリューションと関連技術(AI,IoT,ロボティクスetc...)を愛媛県内事業者・自治体等に実装し、地域課題の解決にチャレンジする「デジタル実装加速化プロジェクト」を2022年度スタートしました。

継続事業者の実装内容をご紹介します。

「株式会社エイトノット(以下、エイトノット)」が進める、自律航行船の実装プロジェクト。2022年度から、大三島にあるツーリズム総合施設「WAKKA」にて、エイトノットが所有する⾃律航⾏EV⽔上タクシーを使った実証運航が行われてきた。

▶株式会社エイトノットの昨年度の実装内容はこちら

そしてついに、2023年度でWAKKAが所有するエンジン船への自律航行システムの導入に成功。当初から目的としていたサンセットクルーズの実現を果たした。

エイトノットが持つ自動航行システム

タブレットの画面

航行中の周辺障害物や他船回避はもちろん、⼿動操作では難しい離岸から着岸まで全てフルオートで完了するという最新技術だ。そのため、船長の技量に左右されることなく、安全に運航が可能となる。

船に搭載されたセンサー類

カメラで撮影された映像を組み合わせることで、360度の周囲の様子を確認することができる

▶AI CAPTAINのテクノロジーの詳細は公式サイトをチェック

【成果】
罠センサーの活用によりイノシシ58頭を捕獲(2024年2月11日までの集計)。さらに狩猟に関する時間削減においても効果を発揮し、多い人で年間395時間、利用者全体で年間985時間もの削減に繋がった。さらに新規の猟友会入会希望者3名を獲得!コストにおいては、興居島猟友会では60台の罠センサーを設置、1台あたり1カ月数百円程度の負担で、ランニングコストを捻出予定。

【利用者の声】
・大幅な労力削減に繋がった
・ガソリン代の削減もできた
・労力削減により新たな狩猟者の確保にも期待ができる

解決したい「船員不足」「事故多発」「ビジネスの壁」

愛媛県は、瀬戸内海や宇和海など海に囲まれており、島しょ部に住む人も多く居る。しまなみ海道の橋を利用して移動する人だけではなく、船を日常の足として利用している人も多い。しかし、近年、「人材確保困難」「燃料の高騰」などを理由に生活に必要な旅客航路の廃止、さらにそれらの影響で離島での生活が困難になってきている。また漁業においても、担い手不足、事故多発、燃料費高騰による収益圧迫などが問題となっている。

罠センサーに関する勉強会を実施

また、今回の実装パートナーであるWAKKAでは、クルーズ船のアクティビティをプランとして導入しているが、以下のような課題を抱えていた。

WAKKAが保有する船舶には暗い時間帯での航行をサポートできるようなセンサー等が設置されておらず、かつ宿泊施設のスタッフが操船を兼務していたため、日没以降の航行に不安があった。そのため、顧客から要望のある「サンセットクルーズ」などのしまなみのポテンシャルを最大限に発揮できるのツアーが企画できない状態だった。

そこで、エイトノットの自律航行システムを導入し、夜間や操縦する船員の技術に依存せず、サンセットクルーズの実現を目指した。2022年度は、エイトノットが所有するEV船での実証が進められてきたが、2023年度はWAKKAが所有するエンジン船に、「エイトノット AI CAPTAIN」を搭載。エイトノットが所有する船舶以外への搭載事例としては2例目、観光用途の船舶への搭載は今回が初めてとなる。

手前がエイトノットが所有するEV船。奥がWAKKAが所有するエンジン船

2024年2月27日・28日で乗船体験会を開催

2024年2月、WAKKA号への「エイトノット AI CAPTAIN」搭載を記念してメデイアや関係者向けにお披露目・乗船会が開催された。

この日は、エイトノットの代表取締役CEO・木村裕人さん、そして株式会社わっかの代表取締役 村上あらしさんの姿もあった。
愛媛県内、そして広島県などの近県からも多くのメディアが取材に訪れ、広くその存在が知られる貴重な機会となった。

メディアに囲み取材を受ける株式会社わっか・村上あらしさん

メディアの取材後は、観光事業などを行う事業者を対象とした乗船会が行われた。

WAKKA号に乗船してみて
■瀬戸内隠れ家リゾート 代表 高掛 智朗さん

私は、広島県尾道市の離島・百島で「瀬戸内隠れ家リゾート」という貸別荘、マリンアクティビティの体験、飲食事業を行っています。離島ということもあり、交通の部分でもう少し利用者の方に快適にご利用いただきたいと思い、海上タクシーを導入して解決していきたいと考えていました。私自身、船舶免許を持っているのですが、今回エイトノットさんのボタンひとつで操作して、目的地点までいくことができるという自律航行技術にかなり衝撃を受けました。快適性の部分でいうと、かなり高い水準にあると感じました。船での気軽に移動ができるようになれば、手ぶらで来て、手ぶらで帰る、しかも好きな時間に行き来ができる、そういった利便性のある新たなプランが提供できるなと思いました。

■株式会社しまなみ 代表取締役社長 村上 秀人さん

株式会社しまなみは、遊覧船事業を行っており、正社員は50名ほどおります。やはり我々が行う遊覧船事業は、安全第一ですので、熟練の技術をもった船長がその安全の根幹に関わります。しかし、年々人員不足などの課題を感じていました。しまなみ海道の海域は、かなり早い流れがあるので、自律航行でどれぐらいまでいけるのかなと思っていましたが、今回の乗船会でシステムについて詳しく聞くことができ、実際に乗ってみて、非常に良いシステムだと感じました。自律航行の技術で安心安全な運航を機械で担保しながら、船員の負担もかなり軽減できると思います。

今年度実装してみて

■株式会社わっか 代表取締役 村上あらしさん

まさか自分のところで自律航行システムを導入することになるとは思いませんでしたが、いざ入れてみるとすごい技術だと感じました。やはり船の事故の半分以上が人為的なものと言われているので、このシステムが普及すればそういった事故も減ると思います。真っ暗になってもセンサーが障害物などを検知してくれるので、これまで実施できなかったサンセットクルーズが実現できることが大きな成果でした。導入後に実際に乗船されたお客様からは、私が船の上でお客様に飲み物などを提供している間に、「今この船は自動で動いているんですよ」話すと、「えぇー!」とみなさん驚いた反応をされますね。操縦をAIに任せることにより、お客様とのコミュニケーションやドリンクの提供など少人数で十分なサービスができるので、以前よりもお客様の満足度も高いと思います。

■株式会社エイトノット 代表取締役CEO 木村 裕人さん

今回のWAKKA様での実装は、当社としても非常に意味のあるものになりました。我々エイトノットは、あくまで手段を提供している会社です。ですので、技術開発を通して、お客様の声を聞きながら、お困りごとを解決していくための手段、これをお客様と一緒になって開発していきたいと考えてます。

2023年度で、当初目的としていた、サンセットクルーズという高単価のメニューを提供できた。このことにより、サンセットクルーズの体験者は、新たな島の魅力・景色を知るきっかけになるはずだ。愛媛県での取り組みをきっかけにさらに広くこの自律航行システムが認知され、一隻でも多くの船にこのシステムが導入されることにより、海の安心と安全が確保されることを期待したい。

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