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LPWAを用いた傾斜センサを利用して、斜面災害を未然に防ぐ!実装検証を報告!【愛媛大学】

2023.4.28 えひめのあぷり編集部

愛媛県では、アフターコロナを見据え、産業の稼ぐ力の更なる強化のため、デジタル技術やロボットを実装し、地域課題の解決にチャレンジする「デジタル実装加速化プロジェクト」を展開中。

採択事業者のプロジェクトの様子をお届けしています。

現在、愛媛県内の土砂災害危険箇所は、約15,000箇所もあるといわれている。しかし、これらの土砂災害危険箇所には監視用のセンサ等がほとんど設置されていないのが現状だ。今回の実装で愛媛大学は、各メーカーの「LPWAを用いた傾斜センサの性能評価」を実施し、その結果や学術論文などの研究成果を元に「警戒レベル管理基準値」の設定に取り組んでいる。さらには、各メーカーの計測データを一元管理するための「標準プラットフォーム」も開発中だ。

各メーカーのLPWAセンサを比較

■性能評価を実施した傾斜計一覧(順不動)

8社(赤枠:地中埋設計、黒枠:地上設置型)の傾斜センサを3地点に設置し、設置後に長期観測による性能把握。気温変動による計測結果への影響評価

今回、実装検証に協力したLPWAセンサのメーカーは、ウェルソック、応用地質、オサシ・テクノス、佐鳥電機、中央開発、西松建設、明治コンサルタント、菱電商事(五十音順)の8社。
地中埋設型、地上設置型など様々な特徴をもったセンサが準備された。

各メーカーのセンサを大洲市(豆柳地区)、宇和島市(和霊地区)、徳島県三好市(有瀬地区)の三箇所に設置し、現場で耐久性能調査を実施した。

【現場試験による耐久性能評価】

■気温変動による観測斜面角度データの影響評価
気温の変化においてセンサの耐久性について調査が行われた。

データ評価期間
有瀬地区:2022年11月20〜22日、2022年12月10〜12日
豆柳地区:2022年11月3〜11日、2022年12月10〜12日
※傾斜角度の変動がほとんどない期間を地域ごとに抽出

気温変動による観測傾斜角度データへの影響においては、地中埋設型の傾斜センサの方が、地上設置型よりも、気温影響が小さいことが判明した。

【実験室による精度評価】

さらに愛媛大学は、0.0015°刻みで傾斜を与えることのできる試験装置を開発(今後改良予定)。
この試験装置を使い、0.05°刻みで傾斜を与え、一定の時間間隔の中で各センサが傾斜角度を把握できているかを確認した。

■現場観測および室内試験による傾斜計測結果の精度評価

これら実験室での調査から、注意警戒の0.01°/時間を精度よく計測できるセンサが求められるという結果を得た。
→センサの精度は、0.01°/時間が保証されることが望ましい。

今後、管理基準の暫定案を設定し、各8社のセンサに対して現地観測と室内実験を実施することで、各社センサの性能評価を行っていく予定だ。その上で、管理基準暫定案を精度よく観測できるセンサの選定とランク付けを実施する。

標準プラットフォームの開発と警戒レベル管理基準値の設定

【標準プラットフォームの開発】

現在、愛媛大学は各社が独自で開発しているダッシュボードを集約するプラットフォームを開発中だ。データのDL、警報通知機能などが必要な機能として挙げられており、さらにUXとして、わかりやすさ、便利性が求められる。
今後、デジタル田園都市国家構想(デジ田)と連携しプロトタイプ版UIの開発を進める予定だ。その後、住民の避難訓練などを通してシステム検証を実施していく。

【警戒レベル管理基準値の設定】

文献調査により設定した暫定案を用いて、現場観測結果に適用した評価を実施。しかし、現場計測結果が十分でないため、今後さらなる検討が必要であることが判明した。
管理基準値の有用性は確認できなかった。

関係者を集めた勉強会を実施

2023年3月17日、LPWA無線技術を用いた斜面災害監視システムの実装化プロジェクトに関する情報を共有する勉強会が実施された。
参加者は、愛媛大学、愛媛県庁土木部砂防課・企画振興部デジタル戦略局・南予地方局河川港湾課、宇和島市危機管理課・デジタル推進課、ライムコンサルタントといった自治体・企業・大学の専門家など。

勉強会は、地すべりや土砂崩れなどの自然災害に対する監視システムの開発に関する現場のニーズの把握や技術情報の交換、専門家同士の意見交換などを中心に実施。その後、今後の活用に向けた議論がなされた。

この勉強会によって、集めた計測データを避難指示にまで活用できるシステムを構築すること、また「警戒レベル管理基準値の設定」においては公的な研究機関の関与が望ましいといった案が示された。
さらに、標準プラットフォームの構築から住民避難指示システムへと昇華させるためにも、更なる地域社会との協働が求められるといった意見が聞かれた。

次年度に向けて、更なる目標を設定

今回の実証検証を経て、愛媛大学は、「LPWAを用いた傾斜センサの性能評価」において、現場観測と室内観測ではある程度のセンサ性能については確認できているものの、長期耐久性などの確認はできていない。そのため、多雨期を含む長期観測および実物大模型斜面崩壊実験を実施し、センサの性能を評価する予定だ。

また、「標準プラットフォームの開発」では、デジタル田園都市国家構想(デジ田)と連携しプロトタイプ版UIを開発。自治体(宇和島市など)でのシステム検証を行うことを目標にする。さらに、「警戒レベル管理基準値の策定」においては、全国地質調査業協会連合会傾斜計コンソーシアム、および四国CX研究会と協働で議論を実施し、管理基準値(暫定案)を設定することを目指す。

LPWAを利用した斜面災害監視システムは、より広範囲で低コスト、省人化を実現しながらも斜面災害から人的・物的資産を守ることができると考えられる。
斜面災害から尊い日常を守るために、愛媛大学は引き続きLPWAを利用した斜面災害監視システムの実装を行っていく。

■第1回レポート記事

■第2回レポート記事

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