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日本酒業界の底上げを!愛媛発「さくらひめシリーズ」の魅力を香りで伝える【株式会社レボーン|事業紹介・実装報告】

2024.5.20 えひめのあぷり編集部

愛媛県では、下記3つの観点から、デジタル・ソリューションと関連技術(AI,IoT,ロボティクスetc...)を愛媛県内事業者・自治体等に実装し、地域課題の解決にチャレンジする「デジタル実装加速化プロジェクト」を2022年度スタートしました。

継続事業者のプロジェクトの実装結果をご紹介します。

昨年度から自社登録商標でもある「香度®︎」を使い、愛媛の特産品をブランディングしている株式会社レボーン(以下、レボーン)。今年度は、愛媛テロワールブランド「愛媛さくらひめシリーズ」を中心に、愛媛の地酒が持つ魅力を香りチャートを使って伝えることに注力し、県内の酒蔵や酒屋・県内外の飲食店と協力し実装を行った。令和6年2月29日には、松山市道後にある水口酒造で実装パートナーらも参加した成果報告会が実施された。

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愛媛の地酒「愛媛さくらひめシリーズ」の魅力を香りからアプローチ

今年度は日本酒に特化した実装を遂行

「香度®︎」とは、レボーンによって考案された香りの指標。「香度®︎」を利用すれば、「なんとなく良い香り」といった曖昧な表現ではなく、香りを明確に伝えることが可能だ。プロダクトの魅力を「香り」という角度から発信し、そこから経済の活性化や新たな仕事の誕生など、たくさんの可能性が生まれることを目指し実装している。
昨年度は、「香度®︎」を利用し「柑橘」「フルーツ魚」など、愛媛の特産品の香りを計測し、香りを基にしたブランディング実現の可能性を検討した。そして、昨年度の実装を経て「香度®︎」と最も相性の良いのが日本酒だと判明。今年度は「愛媛さくらひめシリーズ」を中心に、愛媛の地酒を「香度®︎」でプロモーションする実装を進めた。

えひめ香る地酒プロジェクト「愛媛さくらひめシリーズ」

日本酒に特化した「日本酒香度®︎」を策定

そもそも日本酒は、ワインのように香りを言葉で表す客観的で統一された手法がまだなく、香りの表現や比較が難しいとされている。そこで、レボーンは、日本酒の香りを分解・一般化して整理することにより、日本酒の香りを可視化する「日本酒香度®︎」を新たに策定。この「日本酒香度®︎」によって、日本酒の業界全体の底上げはもちろん、日本酒を飲み慣れている人には新たな楽しみ方が提供でき、日本酒初心者には日本酒の魅力自体を伝えることができる。

レボーンがこのプロジェクトを通じて策定した日本酒香度®のベース「日本酒のアロマホイール」。

実装成果報告会を開催

令和6年2月29日、実装パートナーと関係者が集まった実装成果報告会が開催された。この場で、今年度のレボーンが実施した取り組みとその成果、さらに実装パートナーの生の声を聞くことができた。さらに、プロジェクトには参加していない酒蔵や松山市内の酒屋も出席した他、オンラインでは県外の酒蔵や飲食店、大手メーカーなども参加しており、業界の注目度の高さが感じられた。

2024年度の実装の取り組み

今年度は、東京で開催された日本酒のイベント「若手の夜明け2023Autumn」「第7回酒フェス」に実装パートナーと共に参加。来場者に「日本酒香度®︎」を利用して作成した、香りチャートで各日本酒の魅力を伝えた。さらに、大阪で開催された「旅サラダEXPO」では、各日本酒の香りを説明した名刺サイズの香りチャートも準備。来場者が、試飲した銘柄のチャートなどを自由に持ち帰れる試みも行った。

また、イベントへの出店だけではなく、実装パートナーである松山市の「水口酒造」、大洲市の「養老酒造」、や酒店「小谷商店」の店内、八幡浜市の「梅美人酒造」では、「えひめ香るさくらひめシリーズ」や各蔵元のレギュラー銘柄の横に香りチャートを設置。買い物客が香りを確認しながら、日本酒を選べる販売方法を実施した。

松山市内にある立ち飲み屋「蔵元屋」では2024年2月20日〜25日の間で「愛媛さくらひめ酵母シリーズ飲み比べフェア」として、日本酒香度®に基づいてさくらひめシリーズをマップ化したバージョンの香りチャートを見ながら飲み比べができるイベントも開催。イベントは好評で、期間を過ぎても引き続き飲み比べメニューの一つとして継続されている。期間中には、239名と多くの客が香りチャートを利用した飲み比べイベントに参加した。

さらに、東京の飲食店「海琳堂」では、香りから感じられるムードを切り口に、「今、どんな気分になりたい?」と今の気分で日本酒を選べる企画を実施しており、お客様に大変好評だという。

輸出プロモーションにおける可能性の探索

上記の実装の他に、日本酒の輸出プロモーションにも「日本酒香度®︎」の利用が有効か、日本酒輸出協会会長である松崎晴雄氏とともに可能性の探索も行った。松崎氏は、「香度®︎」の可能性について早い段階で高く評価しており、シンガポールで開催された日本酒のイベントにも同行。松崎氏は、ワインとは別の日本酒のオリジナルの表現として日本酒の複雑さや多様性を世界に広めることの必要性を考えており、そこに日本酒の香りをビジュアル化した香りチャートは有効なのではないかと考えているという。

日本酒輸出協会会長 松崎晴雄氏

実装パートナーの声

■水口酒造
「第7回酒フェス」、「Sake Mtsuri Shingapore」「シンガポールABCキッチンペアリングイベント」に参加、「直売所」にて、香りチャートを使った販売を実施。

✓ 積極的に接客し、試飲までしたお客様は、面白いなど言ってくれることがあった
✓ 店内を自ら見て回っている客は、香りチャートへの反応が鈍めだった

■養老酒造
「若手の夜明け2023Autumn」に参加、「直売所」で香りチャートを使った販売を実施。

✓ 香りチャート設置後、商品の前で立ち止まる時間が長くなった
✓ 香りチャートをじっくり見ているお客様が多かった
✓ 香りチャートに関する質問が多くあった
✓ 香りチャートから商品への関心、というつながりは日本人客の場合100% 、外国人客は「純米大醸がほしい」などの要望ありきの人も
✓ 接客対象が重なった時などに、香りチャートをみて待ってもらうことができた
✓ 特にライトな、華やかなお酒が好みの方には、フルーツの名前が目立った酒に関心を持たれていた
✓ 言語の壁がある外国人客には、香りチャートが客同士での議論に役立っていた様子

■小谷酒店
「直売所」で香りチャートを使った販売を実施。

✓ 接客をするとき、お客様との会話が増えることに一役買っていた
✓ 接客をすると、香りチャートに興味関心をもつお客様がいた
✓ 香りチャートを見て「どのような味わいか」と聞くお客様がいた
✓ お酒の味・飲み方の次に香りというお客様がいた
✓ フルーツの香りだけが載っているため、 「え?」という反応をするお客様もいた

■蔵元屋
愛媛さくらひめ酵母シリーズ飲み比べフェアを実施。

「イベント参加者の声」
✓ 企画とチャートを一緒にしているのは、面白かった。
✓ 良い取り組みだと思う
✓ チャートの見た目が可愛くて興味を惹かれるデザインで良かった!
✓ もっと松山以外にも広めて欲しい
✓ とてもおいしかったです!!お土産に明日買って帰れたらその際の参考にしようと思った

「蔵元屋スタッフの声」
✓ スタッフ側からフェアの案内をしたこともあり、香りチャート/マップに興味を持たれたお客様が多くいたように感じた
✓ スタッフからお勧めするより、 (香りチャート/マップがあると)自分でお酒を選ぶ楽しさがあると思った
✓ 通常の営業や今後のイベントにも使えると思う
✓ 「味わいと香り」を可視化することによって、お客様が酒を飲む時や、購入する時に、より日本酒に興味を持ってもらえると思う

今後の課題と展望

今年度は、実際に酒蔵や飲食店とタッグを組み、「香度®︎」を利用した試飲や購入までの流れの実装が実現した。今回の実装では、「日本酒香度®︎」を使うことで、特に日本酒初心者へアプローチしやすいことが分かった。
また、成果報告会では、「日本酒香度®︎」への好意的な意見が多い一方で、会場からは「誰しもに良い印象がある香りの表現ばかりではなく、たとえばワインのように”草木的な香り”など一見ネガティブに感じられる香りの表現も必要なのでは?外国人でも非常にこだわる消費者は多く、このような香りも一つの個性として前向きに捉えられているようだ」という指摘も。

レボーンでもその点は既に認識しており、今後はデザイナー2名と協力し、「香度®︎」表現のブラッシュアップや表現の多様化を行っていく予定だ。

そのほかにも以下の項目において課題感を持ち「香度®︎」が有効利用できる場を広げていきたいと考えている。
・センサーとAIの精度向上
・他県への展開
・ビジネスモデル(マネタイズ、スケールアアップ、フォーカス利用像)
・「香り」以外の情報を統合
・アプリ開発
・フードペアリング情報の提供

「香り」を視覚化させる新しい概念を作り、浸透させること

株式会社レボーンのメンバー。「今後は、香りチャートを置いているだけで売れ行きが全然違う!というレベルまで引き上げたい。より意味のある使い方をしていただけるように改良していきたいです」と 事業開発マネージャーの樋渡さん(右端)

レボーンは、「香度®︎」という新しい概念を作り、「香りの可視化」を浸透させようとしている。新しい概念を作ることは、それまでにない常識を作り出すこと。おそらく新しい商品を作ることよりも困難なはずだ。今回の実装では、実装パートナーから有益な声をたくさん受け取りつつも、改善点や課題なども見つかっている。「香度®︎」に可能性を感じている事業者は、これからまだまだ増えていくだろう。さまざまな試行錯誤を繰り返し、ブラッシュアップを続けているレボーンの挑戦に今後も目が離せない。

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