
海とともに生きるまち西予市明浜。しらす漁が息づく場所
愛媛県西予市の海沿いに位置する明浜町。
穏やかな海と漁港の風景が広がるこの地域では、古くからしらす漁が営まれてきました。
夜明け前の港に明かりが灯り、小さな船が次々に海へ出て行きます。

明浜は、「しらす」や「ちりめん」の出荷が多い地域。
獲れたてのしらすを茹でたものが「釜揚げしらす」。
乾燥させ、水分を抜いて旨みを凝縮させたものが「ちりめん」です。
どちらも新鮮さが命で、加工までのスピードが品質を決めます。
この仕事を支えているのが、明浜で四代にわたりしらす漁と加工をしている濵田水産です。
「とにかく新鮮さでは負けないんです!」と話すのは、加工を担う由美子さん。
獲れたしらすをすぐに自社の加工場へ持ち込み、乾燥まで一気に仕上げることで、風味と食感を守り抜いています。
18歳から海へ。四代目・太陽さんがつけ続けた“漁の記録”

濵田水産の四代目・太陽さんは現在25歳で、漁師歴はすでに7年になります。
漁に出始めたのは18歳の頃。
実家が漁業という環境だったこともあり、小学生の作文にはすでに「漁師になる」と書いていたのだそうです。
「実際に漁に出始めて、おもしろさに気がつきました。」と話す太陽さん。
当時は、「◯月◯日、どこの場所で、どれくらいの深さで、どれだけ獲れたか」を丁寧に日記へ記録していました。
海の状態や潮の動きを把握し、次の漁へ生かすために試行錯誤していたそうです。

現在は、宇和島水産高校時代の同級生や幼馴染など、同世代の仲間と4人で船に乗り込んでいます。
仲間との息はぴったり。
高校時代の同級生と幼馴染という信頼関係が、漁の現場を支えています。
しらす漁は1日に4〜5回往復することもあるほど忙しい仕事。
海に出る時間は、季節や天候、潮の満ち引きによって毎回異なります。
暗いうちから港に明かりが灯り、エンジン音とともに船はゆっくりと海へ。

潮風を浴びながら船を操り、海面の色や波の動きを読み、魚群探知機の反応を確かめます。
ただ機械に頼るだけではなく、経験からくる勘や感覚を働かせて漁を行うのです。
明浜の海と人々の暮らしの近さが生み出す味
明浜は、宇和海に面したリアス海岸の町です。
海と山がすぐそばに迫り、入り江が複雑に入り組んだ地形が広がっています。
その地形は昔から漁を生み、海とともに暮らす文化を育んできました。

海から加工場が目の前で、漁から加工への流れが日常のなかに溶け込んでいます。
海で獲れたしらすが、ほとんど時間を置かずに加工場へ運ばれるのは、この土地ならではの強み。
海の恵みが生活のすぐ隣にあるからこそ、鮮度を保ったまま乾燥工程へ進める環境が整っています。
古くから続くしらす漁と、地形がもたらす近さが相まって、濵田水産のちりめんはやわらかさと風味の良さを保ち続けています。
明浜の海と暮らしが密接につながっているからこそ、ここだけの味わいが生まれるのです。
鮮度を守る!船から加工場のタンクに直行するスピード感

濵田水産のしらす・ちりめんが新鮮と言われる理由は、漁から加工までのスピードにありました。
船から加工場の距離の近さが影響しています。
海と加工場が隣り合っているため、すぐに乾燥できるからです。
船が港に戻ったら、休む間もなく加工が始まります。
濵田水産では共同加工場に運ばず、船からタンクへ移せるため、温度が上がる前に乾燥作業へ移れるのが大きな強みです。

水揚げから加工するまでの時間や温度によって、鮮度が大きく変わります。
時間が経ち、温度が上がるほど品質が落ちてしまうため、どれだけ早く加工に入れるかが勝負です。
濵田水産では、獲れた当日に乾燥工程まで完了することを徹底しています。
さらに、倉庫に長期保存することはなく、1ヶ月以内に必ず出荷するスタイルを続けているのです。
人気が高い時期には売り切れることもあります。
東京にあるアンテナショップ「香川・愛媛せとうち旬彩館」でも、濵田水産のソフトなちりめんには、ファンが多いそうです。
ふわっと仕上げる職人の技。由美子さんが守る品質の決め手

獲れたてのしらすを茹でたものが「釜揚げしらす」。
水分量が多く、やわらかい食感が特徴です。
乾燥させ、水分が抜けて旨みが凝縮されたものが「ちりめん」。
保存性が高く、しっかりした歯ごたえが生まれます。
一般的に硬めのものが多いなか、濵田水産のちりめんはソフトな食感が魅力です。
漁から加工までを自社で行っているからこそ。

濵田水産のしらす・ちりめんが「やわらかくて食べやすい」「風味がいい」と評価される理由は、加工を担当する由美子さんの職人技にあります。
加工の工程はとてもシンプル。
基本的には、しらすを乾燥機にかけるだけです。
しかし、その加減こそがおいしさの分かれ目となります。

その日の漁で獲れたしらすの大きさや量など、しらすの状態が仕上がりに影響するため、毎回乾燥の設定が変わります。
実際に加工の現場も見せてもらいました。
加工場には、しらすを乾燥させるための大きな機械があります。
機械の設定は、熟練の技で由美子さんしか判断できないそう。

「揚がってきたしらすを見てから、調整しています。」と話す由美子さん。
実際にしらすを手に取り、状態を確かめながら、ふわっと仕上がるように乾燥の具合を調整します。
季節で変わる色と味。知れば知るほど深い「しらす」の世界

しらすと一口に言っても、季節や魚種によって見た目や味わいが大きく変わります。
春に漁獲されるしらすは、マイワシの稚魚が多くやや黒っぽい色味。
一方、寒くなるとカタクチイワシやホウタレイワシが中心となり、白くて美しいしらすが獲れるようになります。

しらすが成長してサイズが大きくなると、しらす漁はシーズンの区切りを迎えます。
しらす漁の終了の基準が「大きくなったら終わり」という点も、興味深いポイントです。
こうした季節の違いを知ることで、しらすがより身近に、そして奥深く感じられますね。
家庭ですぐ味わえる!一番おいしいのは“そのまま”
しらす・ちりめんは、いろいろな料理に使える万能食材ですが、太陽さんと由美子さんがおすすめするのは意外とシンプルな調理法でした。
「結局、そのまま食べるのが一番おいしいんですよ!」と笑う由美子さん。

ご飯にたっぷりとのせ、卵黄とネギを添えて、めんつゆをかけます。
シンプルながら、濵田水産のソフトな食感のしらす・ちりめんの魅力がそのまま味わえる食べ方です。
獲れたてをすぐに加工し乾燥まで終えるため、新鮮な状態で楽しめるのが最大の特徴!
難しい調理は不要ですぐに食べられるので、家庭でも気軽に明浜の味を堪能できます。
明浜の味を食卓へ。しらす・ちりめんをふるさと納税で味わおう!

濵田水産のしらす・ちりめんは、海から戻った瞬間の鮮度を逃がさず加工することで、やわらかく風味豊かな味わいに仕上げられています。
季節ごとに変わる色や食感もまた、明浜の海が育んだ自然の恵みです。
そのおいしさは、西予市のふるさと納税返礼品としても大人気。
食卓にひとふりするだけで、海の香りとやさしい旨みが広がります。

明浜は、海と山が近く、自然とともに暮らす営みが息づく地域。
海が生活と密接につながっているからこそ、今もなお、しらす漁やちりめんづくりが続いているのだと感じさせてくれました。
西予市のふるさと納税サイトから購入できます!
明浜の海で育ったしらすの味を、ぜひご家庭でも楽しんでみてください。
■『濵田水産』の情報
【店名】株式会社濵田水産
【住所】愛媛県西予市明浜町高山甲3320−2
【電話番号】0894-64-1633
■『西予市ふるさと納税』の情報
【お問合せ先】西予市産業部 経済振興課
【電話番号】0894-62-6408