「えぷり」とは?

漢詩大会で出会った表現のかたち。普段は出会えない言葉の世界へ(愛媛/松山市・おでかけレポ)

2026.1.22 ゆかりーぬ

こんにちは!
えぷりライターのゆかりーぬです。

普段あまり触れることのない文化にも出会ってみたい。
ということで今回は、愛媛県県民文化会館で行われた県民総合文化祭「漢詩大会」に足を運んできました。
漢詩と聞くと、少し難しそうなイメージがあるかもしれません。
正直なところ、私も漢詩大会を観るのは今回が初めてでした。
会場に広がる吟詠の声と、言葉に込められた思いに引き込まれる一日。
言葉の奥深さを感じる、貴重な体験となりました!

言葉の力を競う舞台。漢詩大会と「漢詩」とは

県民総合文化祭の一環として開催された漢詩大会。
優秀作品の表彰、入賞作品の吟詠発表、そして複数人で表現する構成吟詠が行われました。

会場に響く吟詠の声は重みがあり、言葉そのものの力を感じさせます。

そもそも漢詩とは、中国で生まれた詩の形式で、自然や人生、感情を漢字のみで表現する文学です。
日本でも古くから親しまれ、多くの文人や知識人によって受け継がれてきました。
決まった文字数や音のリズムがあり、言葉選びの正確さと表現力の両方が求められるのが特徴です。
かつては愛媛にも18の吟社があったそうですが、現在活動しているのは8吟社。
数は減少しつつも、舞台に立つ参加者の姿からは、長年培われてきた漢詩文化を守り、次の世代へつなごうとする強い思いが伝わってきました。

特別に準備中の会場にお邪魔させていただき、大会の見所を教えてもらいました。

受付でもらえる冊子で入賞作品が確認できます。

優秀作品の作者が表彰されます。

審査講評から見えた、漢詩づくりの厳しさ

作品の審査講評では、漢詩制作において大切にすべきポイントが具体的に語られました。
まず強調されていたのが、漢字を間違えないこと、存在しない熟語を使わないこと。
一見細かな点に思えますが、漢詩という形式においては最も基本であり、欠かせない条件なのだそうです。
さらに印象的だったのが、「日本人くささがあってはいけない」という言葉。
漢詩は日本人が詠むものであっても、あくまで中国の詩。
中国の漢詩になりきることが求められ、中国の人が読んでも自然に意味が通じる表現でなければならない、という厳格なルールがあります。

言葉の正確さだけでなく、文化的な背景や感覚まで含めて理解する必要がある漢詩。
その奥深さと難しさを、講評を通してあらためて実感しました。

審査講評では、ルールや注意点を詳しく解説。

尺八の生演奏とともに、入賞した作品の吟詠もありました。

漢詩に思いを乗せ、堂々と吟じる入賞者の姿。

飛び入り参加も。日常に息づく吟詠の風景

この日の大会では、予定にはなかった飛び入り参加もあり、会場が和やかな場面がありました。
披露したのは、道後公園でラジオ体操をしているという集まりの皆さん。
毎朝の活動時に漢詩『松山城』の吟詠をしているそうで、その成果が大会の場で披露されました。

特別な場だけでなく、日常の延長線上にある吟詠。
漢詩や吟詠が一部の専門家だけのものではなく、暮らしのなかで人々に親しまれている文化であることが伝わってきます。
温かい拍手に包まれ、会場には心地よい空気が流れていました。

ラジオ体操の集まりによる飛び入り吟詠。
会場に和やかな空気が広がりました!

道後公園で日々吟じている『松山城』を披露。
思いのこもった吟詠でした。

漢詩とともに生きた人。伊藤竹外氏を偲ぶひととき

大会では、漢詩界に大きな足跡を残した 伊藤竹外氏の13回忌を兼ねた講演が行われました。
講演では、「漢詩大会書感」のつくり方について解説。

実際に伊藤氏から受けた添削を紹介しながら、どのように表現を磨き上げていくのかが丁寧に語られました。

言葉の選び方や視点の置き方など、実例を通して解説される内容は、漢詩に親しむ人だけでなく、言葉を扱うすべての人にとって学びの多い時間だったように感じます。

締めくくりには、伊藤竹外氏の一生を表現した構成吟詠が披露されました。

漢詩が単なる文学ではなく、人の生き方まで映し出す表現であることを実感するひとときとなりました。

伊藤竹外氏の添削例をもとに行われた講演です。

伊藤竹外氏の歩みを構成吟詠でたどります。

吟詠と舞が重なり合い、伊藤竹外氏の人生が表現されました。

構成吟詠のクライマックス。
吟詠と舞に会場が引き込まれました!

会場に集まっていたのは、長年漢詩に親しんできた方々。
厳かな空間のなかで、一つひとつの言葉に真剣に向き合う姿が印象的でした。

漢詩は、独特の決まりごとがあり、正確さが求められる表現です。
だからこそ、一文字一音を丁寧に積み重ねる時間が生まれます。
作品と向き合うことは、自分自身と向き合うことにもつながっているようにも感じました。

スピードや効率が重視される今の時代だからこそ、ゆったりと言葉を味わう文化の価値が際立ちます。
漢詩は文学としてだけでなく、生き方や心のあり方を映し出す文化なのかもしれません。
少し敷居が高そうに思える漢詩の世界ですが、実際に触れてみると、その奥深さと独特の魅力に引き込まれます。

普段とは違う形で言葉に触れ、忙しい日々のなかでも言葉に耳を傾ける時間の大切さを感じるきっかけになる大会でした。

漢詩大会の基本情報

訪れたイベント/ 令和7年度 県民総合文化祭
開催場所/ 愛媛県県民文化会館、愛媛県美術館ほか県内各地
駐車場/あり(有料)
お問い合わせ/愛媛県文化振興課(089-947-5480)

ゆかりーぬ

この記事を書いたのは

ゆかりーぬ

人と話すのが大好き!地域の魅力と日常を伝えるライターです。
「出会いや発見を大切に取材します。「行ってみたい!」 と感じてもらえる記事を届けたいです。」

得意ジャンル:

グルメ・おでかけ・動物

〇松山市在住
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