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定額乗合タクシー「TAKUZO北方」東温市で実験運行中【株式会社バイタルリード】

2023.2.20 えひめのあぷり編集部

愛媛県では、アフターコロナを見据え、産業の稼ぐ力の更なる強化のため、デジタル技術やロボットを実装し、地域課題の解決にチャレンジする「デジタル実装加速化プロジェクト」を展開中。

採択事業者のプロジェクトの様子をお届けしています。

地方交通が抱えるさまざまな課題の解決策のひとつとして、株式会社バイタルリードは定額乗合タクシーの仕組みを提案する。
導入するのはAIオンデマンド配車システム「TAKUZO」。

同社独自のアルゴリズムを用いて、複数の乗客の各依頼に応じた運行を適正につかさどるシステムだ。
市場調査などの準備期間を経て、2022年12月、3ヶ月間の実装検証運行を開始した。

▶株式会社バイタルリードの事業紹介記事はコチラ

実装フィールドの環境と運行形態

実装フィールドは東温市の北方地区。郊外電車の終点駅から重信川を挟み北東に広がるエリアで、大きな病院や学校などがある地区に隣接するロケーションだ。

運行する定額乗合タクシー「TAKUZO北方」は、中学生以上1名月額3,000円(小学生以下は半額)で乗り放題、北方エリア内ならどこでも乗り降りできる。

加えてエリア外も、駅、高速バス停留所、市役所支所、商店、温泉施設の近隣主要5箇所を乗降可能場所に定めている。

運行時間は月曜から金曜の平日9時から16時。通常のタクシー利用が少ない時間帯の空き車両を有効活用した時間設定だ。

利用の際は乗車希望時刻の1時間前までに電話予約を行う。ただし朝9時台の利用は前日17時までの予約が必要。

利用者の声

食料品などの買い物で日常的に「TAKUZO北方」に乗車しているという利用者に話を聞いた。

以前は自身で車を運転していたが、高齢になり免許証を返納、以来外出は家族に運転を頼んだりバスを使ったりしていたそうだ。

「TAKUZO北方」のことは地域の広報紙で知った。
これなら好きな時に気兼ねなく出かけられる。
自宅と商店をドアtoドアで行き来でき、少々の悪天候や大荷物でも楽に安全に移動できるのも嬉しい。

生活に欠かせない外出で週に何度も利用するので料金的にもお得感があり、周囲の人にも利用を勧めているという。

商店の入口にも「TAKUZO北方」の利用案内が

タクシードライバーの声

運行するタクシードライバーによると、利用は高齢者が多く、主な目的は買い物や通院。定期的に同じ場所へ出向くほか、電車や路線バス等に乗るための移動や、温泉施設の利用もある。

短時間の買い物などの往復では、駐車スペースと時間が許せば店舗前で帰りの乗車を待っていることもあるそうだ。

予約センターのオペレーション

本プロジェクトでは株式会社バイタルリードとともに、リージョナルデザイン株式会社が現地サポートを担当する。

地域コンサルタンティングなども手がけ、愛媛県内で「まちづくり」事業を展開する会社だ。
今回は市場調査や広報活動などの諸対応を始め、予約センター運営も同社が実施している。

予約受付は新居浜市にある同社事業所内に設置した予約センターで行う。

電話を受けたオペレータが、乗車する場所と時刻、降車の場所をシステム画面に入力すると、AIによる独自アルゴリズムで運行計画が速やかに作成される。
誰を、どこで、何時に乗降車させるかという運行ルートがつぶさに示される仕組みだ。

複数人の予約であれば、どの順序で乗降車させるか、複数の車両が必要な人数なら、どの車両にどの乗客を乗せるかを含め、最適な配車が速やかに行われる。

確定した配車データは、タクシーの車内に取り付けたタブレットで受信。タクシードライバーが車中で即座に予約内容を把握することができるのだ。

利用促進のアイデア検討も

リージョナルデザイン株式会社の安孫子さん

現状日々の予約は混み合うほどではなく、1日1台の車両でスムーズに運行できている。

スマホ等からの予約機能も有しているが、現在は電話受付で運用。高齢者中心の利用者層のニーズに適うと同時に、要望等の声を拾える効果もある。
細やかな状況把握から、利用者層や利用シーンの拡大検討も展開している。

例えば小さな子どもを持つ保護者層をターゲットにできないか、学童保育を利用する児童の帰宅に使えないだろうか、休日運行ができればレジャー等での利用も増やせるかも…。

運行時間など条件の検討も必要だが、さまざまな視点は今後のヒントになりそうだ。

交通を糸口にした地域の活性化へ

2023年2月末に実装検証運行が終了すればあらゆる角度から成果分析を行う。

既存のバスや鉄道を含む全地域交通が一体になり、交通を糸口に地域の活性化を図る当プロジェクト。

住民、交通事業者、自治体、3者すべてがより良い方向へ向かうためにどのような道が拓けるか、引き続き注目していきたい。

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