
こんにちは、えだまめです。
西予市の愛媛県歴史文化博物館(歴博)で開催中の絵本作家、ヨシタケシンスケさんの展覧会に行ってきました。
ユニークな着眼点をかわいいイラストで描く、ヨシタケシンスケの世界へ
ヨシタケシンスケさんは「りんごかもしれない」や「もう ぬげない」(ともにブロンズ新社)など30冊以上の絵本を手掛けている絵本作家さんで、とても個性的な世界観にあふれた作品をつくられています。
私は小学校の読み聞かせボランティアをしているのですが、ヨシタケさんの絵本はどの学年でも人気。
かわいいイラストと、ユニークさ、少し哲学的な内容が、子どもだけでなく大人にも刺さる作家です。
本展の入場券で1階の特別展会場とショップに入れる他、愛媛の歴史や文化を紹介する常設展も見ることができます。
特別展会場に入ってすぐ、段ボールで作られた秘密基地(?)と看板が置かれていました。
「ほんとうの会場はこっちかもしれない」の文字、そして基地の屋根の上にはりんごが!
「りんごかもしれない」のセルフオマージュですね。
いきなりシュールなヨシタケワールドに出迎えられ、テンションが上がりました。

会場の愛媛県歴史文化博物館。緑に囲まれた静かな立地。

何回来ても見上げてしまうエントランスの立派な天井。

チラシやポスターに描かれている秘密基地(!?)

会場内は一部を覗いて撮影OK!

色々なところに面白い看板があります。ぜひ探してみて。
壁一面の約2,500枚のスケッチは圧巻! ヨシタケさんの頭の中をのぞき見
ヨシタケさんは絵本作家になる前から、身の周りのできごとや思いついたこと、考えたことなど、「私にとって大事なこと」をミニ6穴サイズの手帳にスケッチし続けているそうです。
会場内にはそのアイデアスケッチがびっしりと展示されており、思わず「すごい!」と声が出てしまいました。
描かれているのは、おじさんや子ども、動物などの何でもない動きやポーズなど日常の言葉や風景がほとんど。
絵本のネタ帳というよりも、ふと気になったことをパッと描き留めた感じのメモ帳です。
ヨシタケさんの「私にとって大事なこと」は、「思いついた時に描いておかないとすぐに忘れてしまうくらいどうでもいいこと」だそう。
壁一面のメモ帳は、とても全部は見きれない!だけど、面白い~。
歴博を訪れた際のメモもあり、このコーナーを見るだけで結構な時間が経ちました(笑)

壁一面に並んだ、約2,500枚のアイデアスケッチ!

思わずクスっとしてしまうメモが多かったです。

子どもを寝付かせているのかな?などと想像するのも楽しい。

いつもメモ帳を持ち歩いているそうです。
「絵本作家・ヨシタケシンスケ」を構成するモノを惜しみなく公開
会場ではヨシタケさんの様々なジャンルの私物コレクションや大学時代に製作した立体作品なども展示されていました。
手描きの年表によると、ヨシタケさんは最初から絵を描くことを志していたのではなく、映画の小道具や着ぐるみなどを作る職人になりたかったそう。
その後、大学のデッサンの授業でダメ出しをされて「実物を見ながら絵を描くのはやめようと」決めたこと。
就職先でストレス発散のために愚痴のようなセリフ付きのイラストを、他人に見られないよう小さいサイズで描くようになったこと。
それをたまたま目にした職場の人にかわいい絵だとほめられたことを転機に、イラストレーター、絵本作家への道を歩むようになったこと。
…など、現在の「ヨシタケシンスケ」ができるまでが、あけすけに描かれていました。
今のヨシタケさんの人気ぶりから考えると、人生は何がきっかけで分岐するか分からないな~としみじみ思いました。

「ヨシタケシンスケの かもしれない年表」

少し見えにくい場所に置かれた人形「ておくれ君」

初絵本「りんごかもしれない」着彩試作。

ぜひ、手書きのふせんも全部読んでください。とても面白いです。

様々な作品の原画も見られます。
大人も思わず笑顔。絵本の世界を体感できる楽しい仕掛けがたくさん
アイデアスケッチや原画以外にも、絵本のデザインを使った大型の展示の他、「うるさいおとな」にりんごを投げるコーナーや、映った自分の顔がりんごに変身するというモニター、ボタンを押して「おまじない」を作るコンピューター(?)など楽しい展示物がありました。
私は、りんご変身モニターを何度覗いても謎の実にしかならず、大笑い。
(妹はりんごになりました)
第二、第三会場でも、しんみりさせつつ最後にクスっとくる仕掛けがあったりして、大人でも楽しめる展覧会でした。
また、展覧会グッズコーナーにはヨシタケさんが展覧会用に描き下ろした絵を使った、かわいくておもしろいグッズがたくさん並んでいました。
私は娘に「見せようと思ってたプリント入れ」ファイルを購入。
おかげで、毎日学校のプリントを持ち帰るようになりました(笑)

モニターに映る顔がりんごになるかもしれない。

一歩踏み出せるおまじないが作れるかもしれない。

おしりに気を付けて座ったほうがいいかもしれない。

あえて笑顔で撮るのも有りかもしれない。

「ちいさな神さま」。
いつかこの日を思い出すかもしれない。
今回の展覧会で気が付いたのは、印字されたキャプションがほとんど無いということ。
その代わり、ツッコミや解説などが書かれた直筆のふせんが、あちらこちらに貼られていてました。
このふせんも展示作品なのですね。
来場者を楽しませようという気持ちがとても伝わる、「ヨシタケシンスケ展かもしれない」。
貴重な原画の他に「こんなに見せてもらっていいんですか?」と聞きたくなるほど、豊富なアイデア、失敗や愚痴も含めたヨシタケさんの「頭の中」を開放してくれているのが分かります。
タイトルに付けられた「かもしれない」は、「もしかして作者の照れ隠しなのかもしれない」などと思いつつ会場を後にしました。
芸術&読書の秋にぴったりな素敵な展覧会でした。
愛媛県歴史文化博物館特別展「ヨシタケシンスケ展かもしれない」
開催日/2025年9月20日(土)~11月24日(月・休) 9:00~17:30(入館は17:00まで)
休館日/月曜日
会場/愛媛県歴史文化博物館 企画展示室、文書展示室、考古展示室
住所/西予市宇和町卯之町4-11-2
駐車場/あり
料金/特別展観覧料 一般 1,400円、65歳以上 1,200円、高・大学生 1,100円、小・中学生 700円、未就学児 無料 (特別展観覧券で常設展も観覧可)
問い合わせ先/愛媛県歴史文化博物館
電話番号/0894-62-6222