宇宙技術を用いたアプリ「リモファーム®」を愛媛県内の生産者が活用【有人宇宙システム株式会社】

2023.3.6 えひめのあぷり編集部

愛媛県では、アフターコロナを見据え、産業の稼ぐ力の更なる強化のため、デジタル技術やロボットを実装し、地域課題の解決にチャレンジする「デジタル実装加速化プロジェクト」を展開中。

採択事業者のプロジェクトの様子をお届けしています。

独自技術と知見を活かし、衛星データを用いた営農支援アプリ「リモファーム®」を開発した有人宇宙システム株式会社(以下:JAMSS)。

同社は衛星データをもとに、愛媛県が約16年の歳月をかけ誕生させたブランド米「ひめの凜」の栽培モデルを構築することに挑戦している。

昨年2月頃から愛媛県内の農業法人4社の協力のもと、「リモファーム®」を活用し、圃場のデータを収集している。

▶有人宇宙システム株式会社の事業紹介記事はコチラ

田力本願株式会社(西予市)

愛媛屈指の米どころ、西予市宇和町の「田力本願株式会社」は、これまで何度もコンクールで受賞しているブランド米「田力米(たりきまい)」をはじめ、「ひめの凜」でも2019年度金賞を受賞。

本プロジェクトのひめの凜の栽培に関するロールモデル的な役割を担う。

同社の米づくりは、みかんジュースの搾りかすを発酵させたミカンぼかしを肥料に使っていることが特長。

これまで培ってきた米づくりのノウハウにより、毎年安定して品質の高いひめの凜をつくり続けている。

昨年夏頃に圃場で計測したSPAD値や草丈、茎数も他社の圃場に比べて違いが明らかで、これがどう衛星データに現れるのか期待される。

有限会社ジェイ・ウィングファーム(東温市)

1978年に創業した「有限会社ジェイ・ウィングファーム」は、「地域から耕作放棄地を出さない」という方針の下、ブランド品種のもち麦「媛もち麥(むぎ)®」や、はだか麦を生産している。

ひめの凜の生産も行っており、今回のプロジェクトではひめの凜に加え、米以外の作物(はだか麦)でも「リモファーム®」が活用できるのか実装検証する。

光合成計測チャンバー。植物生体の情報を直接計測しクラウドで解析することで、リアルタイムに「光合成速度」を確認することができる。

農業生産法人あぐり(松前町)

農薬や化学肥料の使用を抑え、自然生態系本来の力を利用して行う農業「エコファーマー」として、愛媛県に認定されている農業生産法人。

特に土づくり(土壌)の点で力を入れており、脱農薬営農に欠かせず環境にも配慮した無化学肥料「ぼかし」へとリサイクルし、土づくりを行っている。

今回のプロジェクトでは、自社の圃場で育てたひめの凜の検証に加え、JAMSSが今後検証していきたい、土壌調査において専門的な意見交換が期待される。

株式会社OCファーム暖々の里(松山市)

松山市北条エリアでせとかや温州みかん、はれひめやポンカンなどの柑橘や、たまねぎなどの露地野菜を生産している。

同社では他3社と異なり、今後「リモファーム®」が稲作だけではなく、露地野菜や柑橘でも活用することが可能なのか、実装検証される。

プロジェクトメンバーと専門家を交え共有会を実施

「リモファーム®」での計測に加え、2022年9月から2023年2月までに計5回の共有会を開催。

共有会では、農業のDX化に関する基本的な考えや、「リモファーム®」の使い方のレクチャー、さらに実際に「リモファーム®」を使ってみての改善点など、ざっくばらんに意見交換を行った。

共有会の参加メンバーは、先ほど紹介した4社に加え、愛媛県農林水産研究所や農業に関する専門家たち。圃場での計測データなどから、専門的な観点でアドバイスや考察をいただいた。

第1回~5回までの共有会の内容は下記の通り。

【第1回:9月27日実施済】
・「リモファーム®」に対する営農者からのフィードバック・要望など
・ひめの凜の栽培に関する所感を共有

【第2回:11月14日実施済】
・第1回に引き続き、「リモファーム®」への要望に対する具体的な改善案の共有
・圃場での計測データに基づく振り返りを実施

【第3回:12月23日実施済】
・計測データ分析結果の共有
・愛媛県農林水産研究所と営農者による意見交換

【第4回:1月30日実施済】
・土壌診断結果、他計測データ分析結果の共有
・愛媛県農林水産研究所と営農者による意見交換

【第5回:2月20日実施済】
・分析結果共有、研究所ほか専門家との意見交換
・はだか麦、柑橘、たまねぎについての検討

それぞれ約2時間の共有会となっており、これまでは考えもしなかった宇宙から見たデータをもとに議論することができ濃い時間となったようだ。

さらに、共有会で出た「リモファーム®」の改善点については、早速メジャーアップデートが行われた。

■「リモファーム®」メジャーアップデート機能(2022年9月~2023年2月対応)
(1)アラートを分かりやすく目立つように表示
⇒アラート一覧も閲覧可能

(2)国土地理院地図だけではなく、航空写真も表示し利便性アップ

(3)昨年度の積算気温が表示され、今年度との比較が可能に

3回目のレポート記事では、今年度最後の共有会である第5回共有会に編集部が参加した模様と、衛星データを分析して分かったこと、成果や今後の展望について紹介する。

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