宇和島市の「こども食堂」で受付システムの稼働を開始【サイボウズ株式会社】

2023.3.1 えひめのあぷり編集部

愛媛県では、アフターコロナを見据え、産業の稼ぐ力の更なる強化のため、デジタル技術やロボットを実装し、地域課題の解決にチャレンジする「デジタル実装加速化プロジェクト」を展開中。

採択事業者のプロジェクトの様子をお届けしています。

昨今社会問題にもなっている子どもの貧困問題。

解決策の一つとされる「こども食堂」だが、その運営や利用、支援にはさまざまな課題がある。課題解決に資するべく「サイボウズ株式会社」が立ち上げたのが、「愛媛こども食堂デジタルプラットフォーム構築プロジェクト」だ。

システム開発・環境整備を経て、2023年2月、宇和島市で本稼働を開始した。

▶サイボウズ株式会社の事業紹介記事はコチラ

「U.granma Japan」で稼働開始

訪れたのは「特定非営利活動法人U.granma Japan」が宇和島市で運営する「ぐらんま子ども食堂」の会場。
ここでは、月に一度のペースで配食を行っている。

これまで来場者の受付は「紙」で運用しており、氏名などを一人ずつ手書きしていた。
今回システムの導入により、二次元コードを使ったチェックイン方法に変わる。

新方法の利用には予めシステム上に利用者登録が必要であるため、運用に先立ち、「ぐらんま子ども食堂」が運営するメッセージツールを使って登録フォームの案内を行った。

利用者登録が完了すると二次元コードが表示されるので、利用者はそれを自分の「利用者証」としてスマートフォン等に画像保存し会場へ持参するという段取りだ。

この日までに約240人が利用者登録を済ませており、未登録の来場者も当日手続きができるように、会場に新規登録者用受付を設けた。

老若男女が交流するこども食堂

受付開始時刻になると、親子連れを始め地域住民が次々に来場。

この日は地元の中高生ボランティアによる「ミニ縁日」も開催されており、子どもたちは楽しみに待っていたようだ。

スタッフと顔馴染みの子や、年配者と小さな子が触れ合う姿なども見られ、こども食堂が地域の交流の場となっている様子が伺える。

開場と同時に地域住民が続々来場

輪投げや射的でお菓子がもらえる「ミニ縁日」

二次元コードで簡単にチェックイン

受付ではさっそく新しいシステムの運用が始まった。

来場者が事前の利用者登録で発行された二次元コードを提示し、受付スタッフがスマートフォンのカメラで読み取ると、即座にシステム認証される。

受付スタッフの画面に利用者名とチェックイン完了の旨が表示され、もうこれで受付は完了だ。

スマホを使い、来場者の二次元コードをスタッフが読み取る

スタッフの画面に「○○さんをチェックインしました」と表示される

紙に氏名等を記入していた従来の受付方式よりも、時間も手間も格段に省かれている。効率化は誰の目にも明らかだ。

またメールアドレスの登録があれば、チェックイン時にメール通知も受けられる。子どもだけで来場する場合も、保護者が状況を把握できるので安心だ。

利用者登録時に二次元コード画像を保存し忘れた人もいたが、受付でスタッフに名前を伝えれば、システム検索で登録情報をすぐに確認。あとは検索結果画面に表示された二次元コードを同じように読み取るだけだ。

未登録の利用者も、この日会場で新規登録を行い、二次元コードを受け取ることができた。
運用初日で幾分不慣れはあっても大きな混乱はない。次回以降利用者もスタッフもさらにスムーズになるだろう。

地元の愛と味がいっぱいの食事

この日のメニューは「貝柱入りじゃこ天カレー」。

愛媛県漁協下灘支所から宇和島市へ寄贈されたアコヤガイの貝柱を使っている。
日本有数の真珠産地である宇和島ならではの珍しい食材で、しかも手に入るのは真珠を貝から取り出す冬の時期だけという貴重な味だ。
他にも具材はじゃこ天、大根、ネギなどカレーではあまり見かけないラインナップだが、地元の愛と味にあふれている。

朝からボランティアの地元中高生らも一緒に、この特製カレーを大鍋3杯分用意した。

ここ数年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため会場での食事は休止し、お弁当として持ち帰ってもらっている。
大勢で賑やかに食事をする「食堂」が復活する日を、スタッフも利用者も心待ちにしている。

集計処理もシステムで簡単に、詳細に

今回稼働するシステムは、受付運用の効率化だけが目的ではない。他にも多くのことが実現できるようになる。

例えば今回の受付システムで、利用者のチェックインと同時に情報をデジタルデータとして蓄積することが可能になった。

リアルタイムにデータ更新されるので、その日、その時点の来場者数を、その場でつぶさに把握することができる。

それをもとに臨機応変な運営を展開することも可能になるのだ。

受付中に現時点のチェックイン総数の参照も可能

また後日の集計処理も、従来よりも劇的に簡略化できる。

これまでは運営スタッフが閉場後に来場者情報を1件ずつデータ入力し、スプレッドシートを使ってデータ抽出や集計を行っていた。
何時間もかかる上に、ある程度の操作スキルも必要になる、負荷の高い作業だ。

しかし今後は、時間も個別ノウハウも必要ない。システムに任せれば良いのだ。

デジタル化で見えてくるもの

さらに、利用者一人ひとりの利用履歴を照会することもできる。
活用すれば、これまでは難しいことも多かった個人の「見守り」に関しても、できることが増えるかもしれない。

スタッフの「気付き」によるところが大きかった利用者の状況変化の察知も、システムでデータとして可視化できれば、明確かつ迅速な対応が期待できそうだ。
そして今後、こども食堂間がネットワークで繋がりデータ連携が可能になれば、さらにサポートの幅が広がるだろう。

次のステップも含めて情報の蓄積・活用を進め、連携範囲を拡大して行けば、今まで隠れていた問題が見えてきたり、改善できることが増えたりするかもしれない。そんな期待がどんどん膨らむ。

今後の展開、デジタルの力

今後はボランティアの活動に関するシステム機能整備も進め、全サービス機能の実装を以て、南予地区、さらには東予・中予地区への連携拡大を予定している。

構築される各プラットフォーム・各機能は、現状機能や操作性の改善はもとより、そこから繋がる人や社会、未来への可能性を視野に入れている。

新たな課題を掘り起こし、解決へと導く力を、デジタルは内蔵しているのだと気付かせてくれる。
このプロジェクトがどのように社会に働きかけ、どんな未来へ向かうのか、今後も目が離せない。

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