愛媛県では、アフターコロナを見据え、産業の稼ぐ力の更なる強化のため、デジタル技術やロボットを実装し、地域課題の解決にチャレンジする「デジタル実装加速化プロジェクト」を展開中。
採択事業者のプロジェクトの様子をお届けしています。
テクノロジーを活用し、持続可能な水産養殖の実現に取り組むウミトロン株式会社は、宇和島市の養殖業者・広沢水産の生簀で“スマート養殖”を実証する。
今回私たち編集部は、スマート給餌機「UMITRON CELL(ウミトロンセル)」の設置現場を取材した。
スマート給餌機「UMITRON CELL」とは?
今回設置する「UMITRON CELL(ウミトロンセル)」
給餌機の中と底に2台のカメラを搭載
上の写真の様に、リアルタイムの動画を活用したAIにより魚の食欲を自動評価し、給餌ストップの判断を自動で行なってくれるので、無駄餌を防ぐことができる。
また、遠隔で魚の摂餌行動や活性の程度も閲覧可能。
広沢水産の養殖生簀に10台設置
今回の実装フィールドは宇和島市にある広沢水産。
真鯛の養殖生簀に10台の「UMITRON CELL」を設置する。
既に5台が10月頭に設置完了しており、編集部が取材した10月末は、残り5台の設置日だった。
作業は早朝、給餌機を船に積み込むところからはじまった。
2回目の設置ということもありスムーズに設置する生産者
生産者によって設置場所の希望もあるため、ウミトロンの技術者が現場で設置場所や方法に問題がないか確認をしながら、設置自体は生産者が行う。
餌を給餌機に入れる作業。1袋20kg
大体1つの給餌機に15袋程度の餌が入る
また、「UMITRON CELL」は餌の量、給餌のタイミングなどカスタマイズして設定することができる。
独自の生育方法・ノウハウを大切にする水産養殖にとって、この柔軟性が大切だ。
生産者からも“効率化”に期待の声が
真鯛の空腹を察知して落ちる餌
広沢水産では、1つの生簀に大体8000~1万匹の真鯛を養殖している。
これまで使用していたタイマー式の給餌機では、毎日餌の補充を行っていた。
一つの生簀で、1日の餌の消費量は大体100kg。1袋20kgの餌を、何個も船から運ぶ作業はかなりの重労働だ。
これが、「UMITRON CELL」を導入することにより、週2・3回程度の補充で済む(餌の残量を遠隔で見ることもできる)。
また、AI を活用した管理によって水揚げ・出荷期間通常 3年のところ、効率的な養殖を実現し短期間での水揚げを目指す。
人が介入する部分をより少なくし、取得したデータを活用することで、養殖事業の業務効率化、生産性の向上やコスト削減を実現する。
今回のプロジェクトについて、「より短期間で真鯛を大きくするために、ウミトロンさんと協力してやっていきたいです」と話す廣澤社長。
今後は、実際に手持ちのデバイスで遠隔給餌や生育状況を確認しながら、2023年2月に実施する意見交換会で成果の確認を行う予定だ。
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