近い将来、愛媛を代表する存在になるかもしれない!? 南予で作られる“未来の逸品”を探し求める企画『南予みらい逸品堂』。その調査隊員からのレポートをお届けします。
こんにちは! 『南予みらい逸品堂』調査隊員のひかりりです! 今回は「びっくりするほど大きな柿がある」という噂をきいて、八幡浜市にやってきました。
今回の案内人はJAにしうわの富士柿部会委員長・菊池さん!よろしくお願いします!
「まずは、“富士柿”の園地を案内しましょう」と、菊池さん。なるほど、「びっくりするほど大きな柿」は「富士柿(ふじがき)」という名前のようです。JR八幡浜駅から車で20分ほど、くねくねとした山道を進んでいくと…。
八幡浜市国木地区へ!
八幡浜市国木地区へ到着しました! なんて素晴らしい景色! 海越しに佐田岬半島が見えます。そして、手前には橙色の大きな実がたくさん!!
近付いて見ると、本当に柿!?と思わず目を疑ってしまうほどの大きさ! 両手で包むように持ってもはみ出してしまうほどです。平均的な重さは350gから450g、大きいものでは600gを超えるくらいあるのだそう。
「富士柿」という名前は、ヘタを下にして横から見たときに富士山のような形をしていることに由来しているそうです。“日本最大級”という点も共通していますね!
この柿は、元々「蜂屋(はちや)柿」という種類の柿を作っていた八幡浜市内の農家さんが、その中に大きくて色付きが早い実を発見したことから栽培が始まったのだそう。見つけた農家さんが「これは凄い!」と、その実が生った枝を大切に接ぎ木し、増やしていきました。そして、翌年から苗木の配布が始まり、見事に八幡浜市の国木(くにぎ)・牛名(うじな)地区の名産品となったと伝えられています。
ちなみに現在、JAにしうわ富士柿部会では、39名の方が34.8haの園地で生産しているそうです。
「それにしても、美味しそうな柿だなぁ」
そういえば、柿は“甘柿”と“渋柿”のどちらかに分類されるはず。
「富士柿は甘柿ですか?それとも…渋柿ですか?」
「富士柿は渋柿です!」と菊池さん。
がーん。今、ここに生っている柿たちは全て渋いということですね。でも、この大きい柿を、皮を剥いてまるごと食べられたら幸せだろうなぁ。そんな私の思いを見透かしたかのように「渋柿を甘くするために脱渋(だつじゅう)をするんですよ」と教えてくれました。
だつじゅう!
また、気になるワードが。引き続き、調査続行です!
脱渋をしている現場へ!
脱渋をしている作業場に到着! 入口には「農林水産大臣賞受賞 JAにしうわ富士柿部会」と書かれた看板が。
脱渋は、漢字の意味の通り渋柿の渋みをなくす工程のことだそう。富士柿の脱渋にはアルコールを使っているようで、
シャッターの向こうはお酒の香りがしました。
今回は特別に中を見せてもらいましたが、通常はアルコール入りの空気を密閉した室(倉庫)で、6日間置くのだそう。毎日2回ずつ室内の温度などの項目を細かくチェックするようです。
最終的には実際に食べてみて、渋みが抜けているかを確認するのだそう。無事に渋みを抜かれた富士柿たちは、全国の百貨店や高級果物店へ出荷されます。
ちなみに菊池さんが持っているのは、渋さをチェックするときに使う試験紙。黄色は渋みが抜けた証!そして、紫色に変わるとまだまだ渋いようです。県内のスーパーやJAにしうわ直売店でも購入できますよ。
加工品としても大活躍!
富士柿は、脱渋をすることで生食も可能ですが、もちろん干し柿としても美味しく食べられます。
八幡浜市国木地区で、女性を中心に富士柿を作っている「丸京農園」さんでは、収穫から出荷までの工程の一つひとつを手作業で行い、特別な逸品を生み出しています。
オリジナルブランドの柿「媛富士」を干し柿にした「ドライ媛富士」は、平成31年、「伊勢神宮」へ奉納されました。なんと愛媛から「伊勢神宮」に農作物を奉納するのは、これが初めてなのだとか!
「媛富士」は、まろやかな甘みと、繊維が少ないことによる口あたりの良さが特長です。富士柿にはもともと種がほとんど無いので、食べやすいことも魅力です。
干し柿の他にも、健康を意識したスイーツなども開発が進められているのだそう! 丸京農園の自社HPをぜひチェックしてみてくださいね。富士柿の可能性は無限大です!
まとめ
今回は八幡浜の特産品「富士柿」をご紹介しましたが、いかがでしたか? 驚くほど大きく、丁寧な脱渋や加工によって更に美味しくなる富士柿は、まさに南予が誇る逸品! みなさんもぜひチェックしてみてくださいね。「南予みらい逸品堂」では引き続き“南予の逸品”をご紹介していきます! 次回もお楽しみに!
P.S.脱渋前の富士柿も食べたのですが、思い出すだけで舌がひりひりします!