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農業生産ノウハウをDX化することで、新規就農者を増やす!勘と経験に頼らない農業への挑戦【PLANT DATA株式会社】

2023.4.20 えひめのあぷり編集部

愛媛県では、アフターコロナを見据え、産業の稼ぐ力の更なる強化のため、デジタル技術やロボットを実装し、地域課題の解決にチャレンジする「デジタル実装加速化プロジェクト」を展開中。

採択事業者のプロジェクトの様子をお届けしています。

植物生育診断技術により、持続可能な農業を確立することを目的とした実装実験に挑戦していたPLANT DATA株式会社。

経験や勘に頼りすぎず、農業のノウハウをDX化することで、品目転換や新規就農者が挑戦しやすく、さらに若者が魅力を感じる農業を目指している。

実装開始から約1年、データ化した植物生育診断を元に取り組んだ農業の実装結果について報告する。

▶PLANT DATA株式会社の事業紹介記事はこちら

「光合成蒸散リアルタイム計測チャンバ」と「画像計測ロボット」を使って新規就農者を支援する

今回の実装フィールドは、西予市野村町。

「光合成蒸散リアルタイム計測チャンバ」と「画像計測ロボット」で取得したベテラン農家・フローラルクマガイの熊谷さんのデータを参考に、品目転換を行う宮内さん・新規就農者の木森夫妻が、ブランドトマトである「うるるんトマト」の栽培に初挑戦した。
「光合成蒸散リアルタイム計測チャンバ」と「画像計測ロボット」の特長と、計測結果を確認していく。

【光合成蒸散リアルタイム計測チャンバとは】

リアルタイムで作物の光合成速度を確認することが可能なシステム。
光合成と蒸散といった植物の重要な代謝を測定することで、植物の健康状態がわかる。ここから得られたデータをもとに、葉に当たる光を調整することで、光合成の量が増え、収穫量を増加することができる。

【画像計測ロボットとは】

1日1回、夜間に計測し、作物の成長を高精度で把握することができる「画像計測ロボット」。完全自動で動き、作物を見守る。さらに、AIで解析することで果実の成熟度など正確な管理が可能になる。

【計測結果】
■光合成蒸散リアルタイム計測チャンバのデータ
(2022年9月16日〜2023年3月11日までの176日稼働)

■「画像計測ロボット」のデータ
(2022年11月10日〜2023年3月11日の121日間稼働)

【データを見た生産者の気づき】
・他の温室に⽐べて⽇射が低い(熊⾕さんの温室)
⇒屋根を洗浄したところ、⽇射・光合成ともに数値が⾼くなった。
・雲が多いため⽇射が少なく、光合成も少なかった。
・天気が良い日は飽差がかなり⾼く蒸散速度が速い。
・遮光をやめた後に⽇射が上がったのに光合成速度が上がらない。総コンダクタンスが低いままだった。
・曇りでも⽇射が約100W/m2,換気窓閉じていたのでCO2施⽤。光合成速度が2倍になった。
・CO2施⽤の効果がよく⾒える。過去2週間の光合成速度よりも⾼くなっている。
・蒸散量が増えていることを考えて、培養液ECを少し下げた。

これらのデータから、現在の生産方法の改善点を見つけ、農業のノウハウを数値化、熊谷さんの「勘」と「経験」の部分を、確かで使えるデータとして宮内さんと木森さんに提供する。

DX勉強会で学びを深める

2022年秋〜2023年春にかけて、愛媛大学の協力のもとメンバーが全員参加するDX勉強会が22回行われた。
植物の環境応答の基本、農業の基礎を学びつつ、「光合成蒸散リアルタイム計測チャンバ」と「画像計測ロボット」から送られてくるデータの読み解き方などを習得。

さらにそのデータをどのように実際の農業の現場に活かしていくか、実践方法について学習した。

DX勉強会では、熊谷さんをはじめ宮内さん、木森さんも毎日の生体情報を見て気がついたことを述べあった。
さらに、12月22日のDX勉強会以降は、宮内さんが前回から今回までの日々の生体情報に基づいた自身の判断の解説を毎回行った。

データを活かした農業により、生産技術を早期に習得

生体情報においては、情報の活用「回数」よりも、どの日の情報を活用したかを示す「日数」の方が生体情報を上手く活用できることがわかった。

【生体情報を確認しての宮内さんの気づきの一例】

宮内さんは、データを元に自身で判断し様々な対応を行った。
10月中旬に栽培を開始した宮内さんの栽培したトマトは、定期的に果汁調査を実施した結果、糖度14度を超えるものもあるトマトの育成に成功。
品目転換1年目にして、ブランド「うるるんトマト」として出荷することができた。

今回、品目転換を行った宮内さん、新規就農者の木森さんは、今後も熟練生産者の熊谷さんのデータと照らし合わせながら生産を行い、適宜、栽培指導を受けながら栽培を続ける予定だ。さらに、栽培されたトマトの品質や収穫量の比較なども引き続き行っていく。

植物生体情報をデータ化し、「勘」と「経験」に頼りすぎない農業は、新規就農者がトライしやすい環境をつくる。

さらに、デジタル化・スマート化された農業に若者が魅力を感じ、データを元に農業を遂行することで、しっかりと作物を収穫でき、きちんと「稼げる仕事」と認識されることで持続可能な農業が確立していく。

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