2023年10月12日(木)に、愛媛県デジタル実装加速化プロジェクト「トライアングルエヒメ」の中間報告会「Fusion Days」が松山モノリスにて開催された。今年度採択された事業者や実装パートナーのみなさまなど、関係者110名が参加し、事例発表や実装報告会、パネルディスカッション、交流会などが行われた。
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愛媛県CDO田中英樹副知事による挨拶
「デジタル実装加速化プロジェクトは、先進的なデジタル技術の県内実装を進めるとともに、ITエンジニアを含むデジタル人材を育成し、地域課題の解決や県民サービスの向上、企業の方には稼ぐ力の強化、県外企業の誘致、そして若者や女性の人口流出の抑制、そういった諸々の解決に繋げていきたいと思いスタートさせました。
様々な分野で目に見える形で成果があがっておりますし、プロジェクトの成功だけではなく、農業分野で事業者の枠を越えた自発的な勉強会が立ち上がるなど、良い波及効果も生まれています。今後も皆様の積極的な関わり合いによるさらなる横展開が進んでいくことを期待しております。」(一部抜粋)
との採択事業者に向けた期待のコメントがあった。
継続採択事業者3社による「実装成果報告」
昨年度から継続して採択された事業者の中で、代表して3社が登壇し、昨年度実装した成果を発表した。
【1】やさいバス株式会社
【事業概要】
スマホ一つで資産者と購買者が直接受発注することができ、配送コストを抑えた方法で鮮度を落とさず商品を届けることができる物流システムを提供。集配拠点を冷蔵トラックが周回し、出荷者も購買者も集配拠点にて、出荷・受け取りを行う。EC+共同配送が一体型となったシステムを活用した、コミュニティと共に地域実装を行う。
【2022年度の成果】
2022年12月からスタートし、
参画農家数:2名⇒267名
参画店舗数:2店舗⇒10店舗
実装パートナー数を拡大に成功!
▶やさいバス株式会社の事業紹介レポート(vol.1)はこちら
▶やさいバス株式会社の事業紹介レポート(vol.2)はこちら
【2】株式会社CHIASMA FACTORY
【事業概要】
建設業界で主に使われている「CAD」には、【業者間で各図面を個別に編集するため整合が取りにくい】【設計初期の段階でリアリティのあるイメージ共有が難しい】【図面作成・修正・打ち合わせに時間がかかる】などの課題がある。この課題を解決できると期待される、建築DX化推進のコア技術「BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」の愛媛県内の認知度・理解度・普及の現状や、建築事業における課題を把握し、課題や非効率性を改善するための「BIM」活用のあり方について、基礎的な検証を行う。
【2022年度の成果】
愛媛県内でのBIMに関する認知度・理解度調査を行った結果
・BIMの存在を知っている人(企業)が約50%
・その内導入しているの企業が2割
⇒全国に比べると遅れをとっている。
導入していない理由
・よく知らない
・需要がない
・時間がない
等
それに伴い、今年度は実際の工事中の案件を用いたユースケースを創出し、そこから得た学びを、勉強会などを通して情報を共有することでBIMの必要性と認知度を高める。
▶株式会社CHIASMA FACTORYの事業紹介レポート(vol.1)はこちら
▶株式会社CHIASMA FACTORYの事業紹介レポート(vol.2)はこちら
【3】AVA Intelligence株式会社
事業概要】
ユーザーの趣向や条件をもとにAI(人工知能)がおすすめの旅行先や観光地などを提案するサービス「AVA Travel」を開発・運用している。旅行者が好みにあった旅行先を簡単に見つけることができるため、実際に予約に至るユーザー数が他の旅行サイトに比べ高い傾向にある。これを愛媛で実装することで、旅行者の「知らなかった」という機会損失をなくし、地域経済の活性化および旅行者の体験価値の向上に繋げる。
【2022年度の成果】
今治市観光課、今治市観光協会、西条市観光推進課、西条市観光物産協会、新居浜市観光物産協会他、東予エリアを中心にシステム連携・情報発信を行うことで、
〇愛媛への旅行提案数
【目標】15,000人⇒【実績】25,000人以上(166%)
〇愛媛への旅行予約送客数
【目標】1,500人⇒【実績】12,000人以上(800%)
※実装完了後2022年10月~2023年3月(前半)までの実績数値
※愛媛東予エリアを対象とした想定数値
今後は実装エリアを南予・中予に展開。さらに、地域連携によるコンテンツ作成の仕組み化を行い、インバウンドへの展開や新規提案の検証にチャレンジする。
▶AVA Intelligence株式会社の事業紹介レポート(vol.1)はこちら
▶AVA Intelligence株式会社の事業紹介レポート(vol.2)はこちら
持続可能な事業モデル実現を考える「パネルディスカッション」
デジタル実装加速化プロジェクトのPMを務めるレガシーイノベーショングループの佐藤さんがコーディネーターを務め、愛媛県スマート行政推進課から1名、そして採択事業者から代表4名が登壇し、パネルディスカッションが行われた。
株式会社ゆうぼく代表・岡崎さん
株式会社CHIASMA FACTORY代表・辻さん
株式会社エイトノットCOO・堂谷さん
AVA Intelligence株式会社代表・宮崎さん
「どのように地域の課題解決を行っているのか」「持続可能な事業モデルを今後どのように展開する予定か」にの2つにポイントを絞って話された。
そして、最後に昨年度から各採択事業者に伴走してきた愛媛県スマート行政推進課の髙岡主幹から、今年度事業者にお願いしたいこととして、「実装先(現場)に入り込んでほしい」「自社のためだけではなく、実装先のため、地域のために汗を流してほしい」「今回の事業を起点として、愛媛の中で広げるために事業をどう拡充させるのかを一緒に考えていきたい」とのお話があった。
「交流会」で繋がる事業者たち
その後、交流会・懇親会を通し、採択事業者や実装パートナーのみなさんでプロジェクトの枠を越えた交流があった。
今年度のデジタル実装加速化プロジェクトでは、昨年度以上に事業者や実装パートナー同士の交流も非常に重要視している。その一環として、「共創会」と題し、各種産業のモデル事業者が取得したデータを有効活用し、ナレッジ共有会・勉強会を実施。優れた技術を持つ事業者同士が切磋琢磨しあうことで、「人と人とのつながりをデジタルが支える社会」の実現を目指していく。
引き続き、トライアングルエヒメ編集部は各事業者の実装風景をレポートし、発信していくのでお見逃しなく!