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愛媛県下でもあたりまえになってきているロボット医療。 ダヴィンチの導入、そして地域医療のありかたとは 【社会福祉法人恩賜財団 済生会松山病院】

2025.1.16 えひめのあぷり編集部

愛媛県下でもロボット支援手術の普及が進むなか、済生会松山病院でも、患者に高精度な手術を提供するため「ダヴィンチ」を導入しました。導入の背景や地域医療における手術支援ロボットの重要性を、泌尿器科の白戸玲臣先生に伺いました。

泌尿器科  白戸 玲臣 主任部長

2000年愛媛大学医学部卒業。2020年より現職。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医。泌尿器科悪性腫瘍(腎がん、尿管がん、膀胱がん、前立腺がんなど)の診断、手術を中心とした治療を専門としている。『がんのことだけでなく「シモの困った」よろず引き受けます。』

なぜ手術支援ロボット「ダヴィンチ」を導入されたのでしょうか?

現在、ロボット支援手術が日本でも大きな割合を占めてきました。ロボット支援手術が優れている点はいくつかあり、ひとつには精密な手術ができるということ。それも、特別な医師だけが出来るわけではなくて、多くの医師が多くの患者様に良い手術を提供できるようになってきました。当院でも、患者様により良い手術を提供するための第一歩としてダヴィンチを導入いたしました。
インテュイティブサージカル社の「ダヴィンチ」は一番歴史がある手術支援ロボットです。他社製品と比較しても最も成熟した技術を持っており、若い先生方が当院に来た際には、普及率の高いダヴィンチだと使い勝手がいいという点も導入するメリットとなりました。

どのような特徴があるのでしょうか?

「ダヴィンチ」の特徴として、一つは3D画像により精密に観察できること、そして、手ブレが防止されたロボットアームは人間の手よりも器用に操作が出来るできることです。患者様にとっても小さな傷で負担の少ない手術となります。
「ダヴィンチ」を導入するにあたり、多職種でチームを作り委員会を開いて、当院で安全に導入するために何が必要か話し合ったり、すでに導入している病院に見学に行ってノウハウを学んだりしました。そのうえで当院に則した運用を検討し、現在無事4症例を終えることができています。(2024年12月26日時点の情報)
当院では委員会発足より約一年で導入となりました。使用に関しては、定められたトレーニングメニューがあり、その一定の知識と技術の認定試験をクリアしないとロボット手術はできないことになっています。画面には精密な3D画像で、実際に患者様のお腹の中に入ったような映像が見えています。皆様が想像されている以上のものが見えていると思います。

主にどのような手術で使用されているのでしょうか?

「ダヴィンチ」は、主に当院では前立腺全摘手術で使用しております。導入前は、前立腺全摘手術が必要な患者さんは他院へ紹介し手術を行っていましたが、現在は発見から手術まで当院で完結できるようになりました。
できれば今後は外科などでもどんどん使っていければと思っております。

ダヴィンチを導入してのメリットを教えてください

泌尿器科ではロボット手術が一般的となっています。ロボット手術は特別なものではなく、どこに住んでいる誰でもが受けられる手術・治療になりつつあります。病気は手術をしたら終わりではなく、その後も再発がないか経過観察をしていく中で、電車やタクシーに乗って遠くの大きな病院でなければ治療できないということは、患者様とその家族様にとって負担となります。当院がロボット手術を開始したことにより、手術の前後ともに家から一番近く、患者様もご家族様も通いやすい環境で治療が完結できるのはご家族の安心感にも繋がることができ、十分メリットになったのではと思っています。

泌尿器科の医師として患者さんに伝えたいことはありますか?

よくある症例として、女性の骨盤臓器脱があります。子宮や膀胱が顔を出す、命にはかかわらないが非常に不愉快な病気です。どこに相談していいか分からないまま、忍耐の中で生活されているかたがたくさんいらっしゃいます。手術で治療してスッキリすることが出来るので、そのような症状があればぜひ泌尿器科に気軽に相談してください。
また、赤い尿が出たら必ず泌尿器科へ受診してください。赤い尿が出たときに危惧するのは膀胱がんです。芸能人なども時折り発症したニュースを聞きますが、膀胱がんの特徴としては、まずびっくりするくらいの出血が出て心配になりますが、すぐに治まってそのまま生活する、その後また出血があり、病院に来るが、その時はかなり進行していたりします。一旦血尿が止まったとしても、血尿が出たら泌尿器科にかかるということを覚えていただきたいです。

最後に読者に向けてのメッセージをお願いします。

「シモの困ったよろず引き受けます」をモットーに、泌尿器のことなら何でもご相談いただきたいと思っております。これまでは、ロボット支援手術のできる遠くの病院を紹介するしかなかった患者さんも、当院で手術まで実施できるようになったことで、通院の便利さはもちろんのこと、最初の受診から手術までそのまま当院で診ることができ、患者さんにとっても安心なのではないでしょうか。泌尿器科は少しハードルが高いと感じられるかもしれませんが、体の不調を我慢せず、ぜひ気軽にご相談くださいね。これからも「家から一番近い病院での医療の完結」を目標に、地域密着の診療を行ってまいります。

基本情報

店名

社会福祉法人 恩賜財団 済生会松山病院

住所

松山市山西町880-2

電話番号

089-951-6111

営業時間

【午前】初診8:30〜11:30、再診8:00~11:30、【午後】13:00〜16:00(予約患者のみ)

定休日

祝日 日 第2・第4・第5土曜日

駐車場