
現在、今治市に11ヶ所ある「地域子育て支援拠点施設(子育て広場)」。
0歳からおおむね3歳までのお子さんの遊び場として、親子のふれあいや育児の相談の場として、多くの方に利用されています。
この子育て広場、今治市の島しょ部にも存在するのを知っていますか?
それが「子育てひろばしましま」です。
今では多くの外国人に支えられている今治市の産業。
「子育てひろばしましま」は、島しょ部に住む外国人子育て世代の入り口となる役割を果たしています。
島で子どもも大人も、みんなが「自分らしくいられる場所」とは?
気になるサポート体制や、地域とのつながりをご紹介します。
元保育所が、アートな子育て広場に
「子育てひろばしましま」は、かつて北浦保育所だった建物をリノベーションして生まれた「鎮守の杜」に存在します。昭和30年代に建築された木造園舎は地域おこし協力隊などのサポートを受け、壁やピザ窯にペンキ塗りを施すなど、アート感溢れるおしゃれな建物として再生。
保育所が閉所となり、地域から元気がなくなったと感じる住民の方も多かったそう。ひろばができてからは、子どもたちの笑い声が聞こえるようになり、「自分たちも元気をもらえる」といった言葉が多く寄せられているそうです。
交流が増えるにつれて、近所の方から採れた野菜が届けられたり、園内の菜園で子どもたちが夏野菜やさつまいもを植える年中行事の際は、イノシシよけの柵を作っていただいたり、地元の皆さんが積極的にサポートしてくれています。
「子育てひろばしましま」は、毎月、様々なイベントも行っています。
子どもたちが自分の好きな車のおもちゃを持ち寄る「くるまがいっぱい」イベントや、オンラインで他の子育て支援施設とつながる教室など、楽しみながら学びもある体験がたくさん!
子育て広場はおおむね3歳までのお子さんと保護者が対象ですが、「子育てひろばしましま」では3歳以上の兄弟姉妹が一緒に遊ぶことが可能です。
これはきょうだいママパパには嬉しいポイントですよね♪

天井や壁に施されたアートで、心躍る楽しい気持ちに

施設の天井にはたくさんのアートが。寝転んでみるのもオススメ♪

子どもたちに伝統を伝えるために使ってほしいと寄贈された杵臼

近隣の方の協力でできたイノシシよけ
外国人ママパパも安心できる、やさしい支援のかたち
今治市の他の地域でもそうですが、島では造船業を支える外国人の子育て世代が増加し、サポートを必要としている人が増えています。
日本で生まれ育った人でも、子育てに関する情報はたまに分かりづらいことがありますよね。
日本語に不慣れなパパやママにとっては、さらに大きな壁に。
そこで、「子育てひろばしましま」では「やさしい日本語」をコンセプトに掲げました。
情報量を抑え、分かりやすい言葉でコミュニケーションをとることで、フィリピン、インドネシアなどから来た外国人のママパパも安心して利用しています。
現在、利用者の約3割は外国人。
多くの外国人ママパパが「日本は安全だから、ここで子どもを育てたい」と語る一方、言葉の壁は大きいもの。
だからこそ「子育てひろばしましま」はこども園への入園準備サポートに力を入れています。
入園前年の12月の手続きに向けて、親子と一緒にこども園の様子を見に行ったり、日本語での手続きを一緒に行ったりと、個々の保護者に寄り添ったきめ細やかなサポートをしています。
取材で話を聞いたインドネシア出身のララさんは、4ヶ月の赤ちゃんと利用。
「おもちゃや絵本がいっぱいあるのがうれしい。ここで島の知り合いも増えた」と笑顔で話してくれました。
保健師、子育て支援コーディネーターとも連携し、子育ての悩みや情報を、日本語が苦手な方に対してもしっかりフォローできる体制が整っています。

国籍や障がいの有無に関係なく、自然に混ざり合う空間

「外国人のお友だちからしましまの存在を教えてもらいました」とララさん(奥)

英語が堪能なスタッフもいるので安心

近くの喜多浦八幡大神社。「鎮守の杜」の名称は神社の杜のように人が自然と集い安心できる場所でありたいとの思いから
始まりは孤立をさせないという想いから
なぜ、「子育てひろばしましま」は外国人をはじめとした様々な背景を持つ親子のサポートに、力を入れているのでしょうか。
それは運営母体である特定非営利活動法人 創作クラブGrian(グリアン)の歴史があります。
Grianは2012年に設立されました。
元々、首都圏で発達障がいや知的障がいのある人の支援に携わっていた設立者である田窪代表理事。Uターンで島に戻った際、成人の障がい者が通える施設がない、保護者が送迎できないなどの理由でほとんどの障がい者が在宅で生活するしか選択肢がないことを知りました。
そこで、居場所をつくるために、月に一度、ワークショップをスタートしたのが始まりです。
キャンドルのリメイク販売などを通して、「障がいがあっても、かわいい商品を作って働くことができる」と徐々に自信を深めた障がい者たち。
その後、公民館や隣保館を借りて活動する中で、障がい者を成人になってから支えるだけでなく、「子どもの頃から丁寧に見守りたい」という思いが強くなり、子どもの居場所づくりへとつながりました。

家庭でも学校でもない、日常に寄り添うもう一つの場所

「一人ひとりを『個』としてしっかり見守ります」と田窪代表理事

皆でペンキを塗った、想いの詰まった場所

施設内には基本毎月第2土曜日オープンの「ほとりカフェ」も併設。オープン日はInstagramで確認を。
食べて、話して、つながって育つ
そして2021年、島の全ての子どもたちの居場所として「子ども第三の居場所ちんじゅのもり」を日本財団の支援を受けオープン。
施設のコンセプトは「地域の人と関わりながら生きる力を身につけること」と「孤食を避け、食卓を囲むこと」。
宿題を家でするのが難しい家庭の子、家では危なくて調理をする機会のない子、学校で居心地の悪さを感じている子、そして外国人や障がいのある子も含め、みんなが一緒に過ごします。
夕食の時間は、皆で配膳や後片付けをし、食事マナーや季節の食材に触れながら、今日あったことを自宅のように話し合う。家庭でも学校でもない、心安らぐ場所となっています。
地元の児童館や児童クラブとも情報を共有しており、大人数の中ではなかなか自信を持てない子も、少人数で丁寧に関わることで自信をつけてから、大きな集団に戻れるようサポート。
日本財団からは今でも様々な体験の機会が提供され、取材日は岩手県石巻とオンラインで結んだ魚のさばき方教室が開催。また、独自企画として、マルシェや地元の子ども太鼓の披露もあるバザー「しまパサール」を定期的に開催するなど、体験の機会と地域との交流を大切にしています。

掲示板からも伝わる、手作りの温もり。

みんなで囲む食卓が、心を育てる時間に。

遊び心溢れるアート作品

多様な親子が集う島の居場所
現在、「鎮守の杜」では、おおむね3歳までは「子育てひろばしましま」で、その後は「子ども第三の居場所ちんじゅのもり」で一貫してサポートする体制が整っています。
両施設とも、多様な子どもたちと親に寄り添い、地域全体を温かく包み込む、島になくてはならない存在。
ぜひ一度、温かい笑顔あふれる「鎮守の杜」を訪れてみてください。
子育てひろばしましまの場所・情報
訪れた施設/子育てひろばしましま
住所/愛媛県今治市伯方町北浦甲2255
駐車場/あり
問い合わせ先/鎮守の杜(旧北浦保育所)内
電話番号/070-1920-4662
メール/ grian2255@gmail.com