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【注目】11/9(土)2ndEPリリース!松山のロックバンド「New Sprint」に特別インタビュー!

2024.11.5 えひめのあぷり編集部

「思い出に寄り添う短歌集ロック」を一つのテーマに、松山市を中心に活動している4人組ロックバンド「New Sprint」。11/9(土)には「母恵夢」CMソング『魔法のレシピ』をはじめとする楽曲が収録された2nd EP『漂流日記』をリリース予定で、10月には初の東京ライブにも出演し活動の幅を広げている。「New Sprint」結成秘話から2ndEPに収録されている楽曲への想い、今後の活動への意気込みなどを編集部たっちーがインタビューしました!

New Sprintプロフィール

(左から)カケカケさん(Dr.)、macoさん(Ba.)、ゆみてぃさん(Gt./Vo.)、ナオキさん(Gt.)

松山大学のフォークソング部に所属していた4人。別バンドを組んでいたナオキとカケカケが、ゆみてぃとmacoを誘い結成。結成以降、初の楽曲制作に挑戦したゆみてぃが作詞・作曲を担当。どこか懐かしさを感じる楽曲で、聴き心地の良い歌声とエモーショナルで迫力のあるサウンドに注目。

INTERVIEW

11月にリリースされる2ndEP『漂流日記』について、収録されている5曲にはどのような想いが込められていますか。

ゆみてぃさん(Gt/Vo)(以下、ゆみてぃ):まず『蛍』という曲はステージに立つとき、短い間でもその瞬間だけは一番輝いていたいという想いを込めて作りました。楽曲全体を通して、5曲全てに共通するのは「ステージで輝いていたい」という強い願いです。

―どの曲にも想いがあると思いますが、他のメンバーの方は今回のEPの中で好きな曲はありますか。

ナオキさん(Gt)(以下、ナオキ):5曲目の『居眠り遊園地』という曲が、個人的にはいい意味でも悪い意味でも作曲に一番時間がかかって、思い入れがありますね。歌詞やメロディーは考えてなくて、ゆみてぃからもらった弾き語りのメロディーをもとにバンド用に落とし込んだのですが、一番ワクワクしながら作れた反面、一番苦労もしました。エモーショナルな雰囲気がありつつ、流行を無視したギターソロもあって、曲がどんどん激しく展開していくんです。ストレートに自分たちがやりたいことを詰め込んだ曲だと感じています。

macoさん(Ba)(以下、maco):自分はベースを担当しているんですけど、うちのバンドでは基本的にゆみてぃとナオキがベース以外の大まかな構成を作って、最後に自分がベースを作るんです。『蛍』のときもそうでしたが、いつもは音楽理論に基づいてアプローチすることが多いんですけど、この曲は音自体はシンプルながら、様々なバリエーションで表現することができました。最後に作った『何者』は、初めて音楽理論を捨てて感覚だけで挑戦した曲です。

カケカケさん(Dr):そうだったんだ。

一同:()

maco:スラップという奏法を使ったのもあって、個人的に『何者』には特別な思い入れがありますね。ナオキ:そうなんです。これまでベーシストが目立つ曲があまりなかったんですけど、今回はmacoがパシッと作ってくれたんです。作っていく過程で「ここはベースが絶対に目立ってほしい」っていう部分があって、頭の中でしっかりとイメージがありました。それを彼に投げたとき、イメージ通りのものが返ってきたので「これこれ!」って感じでしたね。


―では、このEPでも新しい挑戦が多く含まれているのですね。

ナオキ:このEPは全体的にそうですね。今回のEPを作るまでに聴いた音楽の影響も、うまく反映できたんじゃないかなと思います。

ゆみてぃ:楽器も増やしましたね。アコースティックギターやウィンドチャイムを使ったり、コーラスも以前より増やしたりしてみました。それで楽曲の雰囲気も少し変わりましたね。

ナオキ:ライブではなかなか再現できない部分もあるので、音源にしかできない音の遊び方をしようと思って、雰囲気を少し変えてみました。音源だからこそできる自由さを生かして、またライブでは違った体験ができるようにしたいですね。

―確かに音源での工夫によって音楽の自由度が広がりそうですね。カケカケさんも、特に思い入れのある曲はありますか。

カケカケ:僕は『ふたり色』ですね。実は1stEPをリリースしたツアーのファイナルで最後に披露した曲なので、ただただエモいですね。アンコールがあったときにこの曲をしようと決めていたんですけど、ライブの最後に初めて披露することで、次の作品にも繋げていきたいという想いがありました。


―これからの指標や新しいことをやっていくという目標を持ちながら今回のEPを作られたんですね。ちなみにCMでも話題になっている母恵夢のテーマソング『魔法のレシピ』も収録されていますが、ゆみてぃさんが母恵夢で勤務されているのを知ってすごく驚きました!

ナオキ:知っちゃいましたか(笑)

一同:()

ゆみてぃ:そうなんです。実は今日もいつも通り出勤していました。

―そうなんですね!何か制作秘話があればぜひ教えてください。

ゆみてぃ:去年の11月に「母恵夢スイーツパーク」をリニューアルすることになって、その際に新しいCMを流そうという話が出たんです。そのときに、私から「CMソングを作りたい」と提案したのが、今回の曲が採用された経緯です。


―そうだったんですね。

ゆみてぃ:実は1、2年目はスイーツパークで働いていたのですが、当時のお客さんの顔やお店の雰囲気が印象に残っていたので、その経験が曲を作る上で役立ちましたね。


―メンバーのみなさんは同じ松山大学のフォークソング部出身ですよね。「New Sprint」の結成秘話を具体的にお聞かせください。

ナオキ:じゃあ僕は一度席外すのでカケカケお願いします。帰ってきたころには、きっといい感じになっていると思うので(笑)

一同:(笑)

~ナオキ退室~

カケカケ:そうですね、ちょうどコロナ禍でライブがほとんどできない時期に、オーディションを通過すれば松山のライブハウスでCDを出せるチャンスがあると聞いたんです。4人ともフォークソング部で同い年というのもあり、一緒にやってみようという流れになりました。


4人とも同い年なんですね。

maco:そうなんです。あとこの話をナオキが聞いたらすごく変わると思いますよ。話の流れや主体が変わってくるので(笑)

カケカケ:そうですね、ナオキが添削してくれるんで(笑)

~ナオキ入室&インタビュー内容共有~

ナオキ:そうですね。付け加えるなら、もともと僕とカケカケがいたバンドが大学在学中に続けられなくなったんですけど、僕はバンドを続けたいという強い想いがあって。「こんなバンドでこういう曲を作りたいな」と考えながら、自分で作詞・作曲したものを溜めていました。その中で、ゆみてぃ以外の3人でコピーバンドもやっていたのもあって、ものすごく悩んだ末に、ベース macoにお願いしようと決めました。


―そしてボーカルが最後に決まったんですね。

ナオキ:ボーカル選びは一番悩みましたね。他の人とバンドを組むのもいいなと思いつつ、最終的にはゆみてぃに声を掛けることにしました。


―今までのお話から考えると、ナオキさんからみなさんに声を掛けたのですか。

ナオキ:そうですね。でも当時と比べるとバンドに対する想いはさらに強くなっています。包み隠さずいうと、本気で売れたいという気持ちで今は活動しています。最初は、僕も含めてメンバー全員が趣味の延長線上でバンドをしていて、CDを作ることすら考えていませんでした。ただ、ライブをやりたいという想いはあったんです。そして、みんなが就職活動を終えてから本格的にバンド活動を始めることができましたね。

―ということは、今はみなさん働きながら活動されているんですね。すごく大変ですね。

ナオキ:そうなんです。今も合間をぬって練習しています。本来なら就職したら活動が難しくなるのではないかと不安だったのですが、逆に就職後の方がありがたいことに活動の幅がどんどん広がっています。スタジオでの練習は仕事が終わった後の21時から23時が基本です。集まれるのは大体週に12回で、ライブ前はもっと増やしています。ただ最近はほぼ毎月ライブがあるので、集まる回数もどんどん増えています。明日は初の東京ライブを控えているので、特に気合いが入っています。


―そんな大変なときに、取材の時間をいただきありがとうございます!県内外で活動の幅を広げられていますが、なぜ松山を中心とした活動を続けられているのでしょうか。

ナオキ:4人とも松山出身というのもあって、都会に進出して活動するバンドも多いんですけど、あえて愛媛で活動をする面白さもあると思っています。今の時代、都会に行かないと知ってもらえないというわけではありませんし、SNSYouTubeも使えば情報発信もできます。ローカルを軸にして全国規模で活動する方が“愛媛のバンド”として魅力も増すと思うんです。それに、愛媛のバンドといえば「LONGMAN」もいますし。


―確かに愛媛にゆかりがありながらも、全国的にも有名ですよね。

ナオキ:そうなんです。ライブで一緒になることもあって、本当に優しい方々です。でも、さらにいえば彼らを超えたいと思っています。多分「超えられるものなら超えてみろ」と言われると思いますけど(笑)


―すごく良い関係性ですね。曲制作についてもお聞きしたいのですが、今回の2ndEPに限らず、ゆみてぃさんを中心に作詞・作曲をされているのですか。

ゆみてぃ:そうですね。歌詞をメモに書き連ねているのですが、様々な言葉を厳選しながら組み合わせて作っています。弾き語りでメロディを付けたものをナオキに送って、バンド用に編曲してもらっています。


―ゆみてぃさんの弾き語りがInstagramに投稿されているのも素敵だと思いました。

▶ゆみてぃさんのInstagramはこちら

―楽曲制作において、特定の時間を設けて作ることが多いのでしょうか、それともふとメロディや歌詞が頭に浮かぶことが多いですか。

ゆみてぃ:日常的に思い浮かぶことが多いですね。ぱっと浮かんだアイデアは、すぐに携帯のメモに打ち込んでいます。心が動かされたときや、特に辛いと感じたときにメモすることが多いのですが、それらの言葉を明るい表現に変えて工夫して作っています。それが曲になったとき、同じ気持ちを持った人たちに共感してもらえることが多いので、自分の感情をありのままに表現することを大切にしています。


―そうなんですね。「思い出に寄り添う短歌集ロック」を一つのテーマにされていますが…

ナオキ:意味が分からないですよね。

一同:()


―この機会に知りたいなと思っているのですが、ゆみてぃさんが仰ったようにこのテーマも共通して“共感”を大事にされているのかなと思いました。

ゆみてぃ: “短歌集ロック”という言葉は分かりにくいかもしれませんが、私たちの曲を聴いたとき、“短歌集を読んでいるかのように、物語の情景がすぐ目に浮かぶようなロック”を目標にしています。実は私が短歌好きで、短歌を読んで感じたことなども曲にしています。『ふたり色』がまさにそれに該当します。この曲は俵万智さんの短歌「サラダ記念日」を読んで作ったものなんです。短歌には「眼鏡を取る」「ペンを持つ」という仕草が黄緑や青色に見えるといった表現があるのですが、私にはそのような感性がないものの、「君が生きていてくれて良かった」というありのままの想いをサビで表現しました。短歌だけでなく、日常にあふれる様々な作品に触れることで楽曲に影響を受けることも多いです。

―短歌などの作品から曲が生まれているんですね。今まで作られてきた曲全てに思い入れがあると思いますが、特に思い入れのある曲はありますか。

maco:曲によって思い入れが変わるので一概にこの曲が一番とは言えないですね。“歌”が一番好きな曲は前回のEPに収録されている『カオルキオク』です。”楽曲アレンジ”が一番気に入っている のは、今回のEPに収録されている『居眠り遊園地』ですね。あとドラムが良いなと思うのは『ふたり色』の最初のサビです。一番叩くのが難しいところですが、カケカケが上手くいったときは本当にカッコいいと思いますね。


―今回のEPにも収録されている『ふたり色』のサビは本当に素晴らしいですよね。様々な想いが込められた曲を県内外でライブで披露されていますが、ライブの際に心掛けていることはありますか。

ゆみてぃ:私は楽しむことを大切にしています。自分の緊張や失敗への不安は周りから見てすぐに分かるものですから、その感情が伝わらないようにしています。最近やっとライブで素の自分を出せるようになり、練習してきたことをライブでは楽しく表現できるようになりました。

maco:最近、ライブにおいて自分を評価する基準として演奏の質と動きの質、そして気持ちをどれだけお客さんに向けられているかを意識しています。演奏とパフォーマンスに関しては、いかに表情豊かにお客さんに魅せられているか、自分の気持ちを顔や身体に出すかを考えています。今年の夏ごろまではYouTubeで自分たちのパフォーマンスを撮影していたのですが、それを見返すと思ったより表現できていない部分や、ここは誰かに目立ってほしかったなと反省することが多かったです。そうした点を改善しつつ、もっとお客さんに伝えられるようになりたいと思っています。

カケカケ:僕らは歌に重きを置いた「うたもの」というジャンルで活動しているので、特にドラムは走りすぎてはいけないんですよね。初めの方のライブでは気持ちが高ぶることが多かったので、その気持ちを抑えつつ、しっかり他のメンバーの演奏や声を聴くことが大切だと感じました。以前は失敗すると割と落ち込んでいたんですけど、最近は切り替えられるようになって、次のライブに向けて反省しつつ少しずつ気持ちを安定させられるようになっていますね。

ナオキ:僕は3人が言ったことが少しずつ当てはまりつつ、やっぱり楽しむことを前提にしています。祖父が音楽療法の一環で老人ホームなどの施設を訪問して演奏をしているのですが 、自分たちがやりたい曲ではなく人気曲や有名曲を披露したときに反応が良くなかったそうなんですよ。それで自分が本当にやりたい曲を思いっきり楽しんで演奏した時には、みんながすごく楽しんでくれたそうです。僕も負けず嫌いなので、対バンしたどのバンドよりも良い演奏をしたい、良いライブを届けたいと思っていますが、そういう祖父の話を聞いて僕たちが楽しまないとお客さんも楽しめないんだと感じました。だから、ライブ中の表情やパフォーマンスにも気を付けたりしています。 3人が言っていたことも大切にしつつ、お客さんだけじゃなく他のバンドにも良いと思ってもらえるライブを心掛けています。そして、関わっている全ての人に好きでいてもらいたいという一心で活動していますね。

―一人ひとりにライブへの想いがあってパフォーマンスを披露されているんですね。今後こういう曲を作りたいなど、曲制作以外でも挑戦してみたいことはありますか。

maco3人にも言っているんですけど、『アオのハコ』の主題歌をやってみたいですね!

―まさに今、アニメ化されている作品ですね!

maco:そうなんです。2期があればぜひやってみたいですね。

ゆみてぃ:実は今回のEPにも収録されている『居眠り遊園地』は『アオのハコ』を読んで作った曲なんです。ネタバレになるので詳しくは言えませんが、漫画でいうと10巻あたり、アニメは2クール連続放送されるので恐らくそのあたりでリンクする内容になっていると思います。もちろん、その作品だけから影響を受けたわけではなく様々な要素を含んだ曲になっています。

ナオキ:今後作りたい曲については、より音楽の幅を広げていきたいと思っています。 好きなバンドからの影響を受けて曲を作っていると、フレーズや構成から「このバンドが好きでしょ?」とお客さんに気付かれるのがすごく悔しいんです。自分の好きなものは自分の軸に置きつつ、表現するときはバラエティ豊かにしていきたいと思っています。そのため他のバンドの曲を聴く際はより深堀りして聴いています。なぜその構成になっているのか、自分たちの曲にどう反映させることができるのかと研究し、要素を詰め込んでいきたいですね。活動全般については、今後も県内外でどんどんライブに出演していきたいです。個人的には自分たちのYouTubeチャンネルでラジオをやってみたいですね。トークに慣れるためでもありますし、ラジオを通じて自分が思っていることを再確認できると思っていますね。自分の考えをうまくアウトプットできれば演奏や表現力にも繋がると考えています。

maco:言語化することはすごく重要だと思います。自分の思ったことや感じたことを演奏だけで伝えた方が良いという人もいるかもしれませんが、自分は音で伝える説得力を高めるためには言語化が不可欠だなと感じていますね。

ナオキ:言語化しようとすると感覚が鈍るんじゃないかと恐れていた時期があって、もともとは完全に感覚派だったんです。でも、意外と自分の言葉でアウトプットしていると自分の感覚にも理由があるんだなっていうのが分かるし、感覚っていうのは生まれ持っているものなので、そう簡単には消えないということを最近感じるようになってきましたね。


―なるほど…。ものすごく勉強になります。では最後に、愛媛のファンの方にメッセージをお願いします!

ゆみてぃ:いつも応援してくださりありがとうございます。母恵夢のテーマソングを通して愛媛の方の目に触れる機会が多くなったと思いますが、これから野外など、ライブハウス以外でももっと活動の幅を広げて大きなバンドに成長していきたいと思っています。ぜひぜひ、私たちのライブを見にきてください。

『蛍』のMV公開&『漂流日記』配信!

11/1(金)に今回のEPにもある『蛍』のMVを公開!そして、11/9(土)には2ndEP『漂流日記』のCD・サブスクを配信。詳細はNew Sprintの公式SNSをチェック。

▶New Sprintの公式HPはこちら

▶MVはNew Sprint公式YouTubeから

12月に松山でライブ開催!

12/7(土)にワンマンライブを松山のライブハウス「W studio RED」で開催!詳細はHPを要チェック。

▶W studio REDのHPはこちら

編集部コメント

ちゃっかり真ん中にいる編集部たっちー

4人の個性が光る和やかな雰囲気の中でインタビューを行いました。特に音楽性やライブに対するそれぞれの想いを伺うなかで、挑戦したい音楽への熱い想いがひしひしと伝わりました。勢いの増しているバンドで、ボーカルのゆみてぃさんの一度聴くと何度も聴きたくなる柔らかい歌声にもぜひ注目していただきたいです。New Sprintさんのこれからが楽しみです!

▶公式Instagramはこちら