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【四国西予ジオミュージアム昆虫展】愛媛のチョウとオサムシが大集合!標本から自然の多様性を学ぼう(愛媛/西予市)

2025.8.27 えひめのあぷり編集部

2025年8/20〜9/8まで!夏休みの締めくくりは昆虫展へ

ふわりと羽ばたくチョウ、硬い羽に守られたオサムシ──
昆虫たちの姿は、小さくても奥深く、つい見入ってしまう魅力があります。
現在、四国西予ジオミュージアムでは「四国西予ジオミュージアム昆虫展-昆虫標本と新聞記者西原博之の昆虫研究の歩み-」が開催中です。

愛媛新聞記者として、そして一人の昆虫愛好者として歩んだ西原博之さんの研究の結晶を、実際の標本で見ることができるこの展示。
子どもから大人まで、自由研究にもぴったりな体験にきっと心がときめくはずです。

また、常設展示では西予市の豊かな自然—
海から山までの物語も学べます。
昆虫と地球をつなぐ特別な展示で、西予の自然とともに楽しめるひとときを過ごしてみませんか。

取材のかたわら、生涯をかけて昆虫を追い続けた西原さん

今回の展示の中心となっているのは、昨年惜しくも亡くなった元愛媛新聞記者の西原博之さん。
新聞記者として日々のニュースを追いながら、実はプライベートでは昆虫を追いかけ続けた“昆虫好き”でもありました。
取材で社会を記録しつつ、昆虫の姿を標本として残してきた――
そんな二つの世界を同時に歩んできたのが西原さんです。

大学時代にはアゲハチョウの脳をテーマに研究し、その後は仲間と「東宇和自然史研究会」を立ち上げて、地域の昆虫を丁寧に記録。
展示室に並ぶ標本からは、真剣さのなかに「昆虫が好き!」という気持ちがにじみ出ており、見る人の心をぐっと引き込みます。

原点は標本作り。“昆虫少年”が抱いた夢は次の世代へ

西原さんの昆虫好きは、小学生の頃から始まりました。
小学5年生のときに作った最初の標本は、なんと50年以上たった今も残されており、今回の展示でも見ることができます。
身近な昆虫を追いかけたりする中で、次第に「もっと知りたい」という気持ちがふくらんでいったそうです。

今回の展示を企画した大森さんも「僕自身、小学生の頃から昆虫が好きだったので、この展示を通じて次の世代に多様性や保全の大切さを伝えたい」と話してくれました。
昆虫を愛する気持ちが子どもから大人へ、そして未来の世代へと受け継がれていく――
そんな思いが込められた展示になっています。

愛媛のチョウがずらり!網羅された標本コレクション

展示室に入ってまず目を引くのは、ずらりと並んだチョウの標本。
色とりどりの羽が光を受けて輝く様子は、まるで生きて飛んでいるかのようです。
日本にはおよそ240種類のチョウがいますが、そのうち半分以上が愛媛で確認されているそう。
西原さんはその記録を一つひとつ積み重ね、本や記事にまとめてきました。

今回の展示には、愛媛で初めて発見された「カバマダラ」や、今ではなかなか見られない絶滅危惧種も含まれています。

美しいチョウたちの姿を楽しみながら、「愛媛ってこんなに多くの種類がいるんだ!」と新しい発見ができるのも、この展示の大きな魅力です。

モンゴルの昆虫も、じつは日本の昆虫と同じ仲間?

展示室を進むと、日本だけでなく海外で採集された昆虫の標本にも出会えます。
西原さんはモンゴルで調査を行ったこともあり、そこでは日本の昆虫とよく似た種類が見つかっています。

実は日本とモンゴルは同じ「旧北区」という生物区系に属していて、遠く離れていても共通点があるのだそうです。
チョウや甲虫を見比べてみると、「見た目はそっくりなのに微妙に違う!」と気づけるのもおもしろいポイント。

そのほか海外の昆虫の標本もあり、国内だけでなく世界の自然とつながっていることを感じられる展示で、昆虫を通じて地球の広がりを体感できます。

西原さんが追い続けた “飛べない甲虫”オサムシ

展示の中でもひときわ熱量を感じるのが、オサムシの標本です。
オサムシは羽が退化して飛べない甲虫で、地面を動き回りながら生活しています。
西原さんはこの昆虫の不思議な魅力にひかれ、種類ごとの違いや個体ごとの変化を調べ続けました。
実際に標本を見比べると、同じオサムシでも大きさや模様に少しずつ違いがあります。

また、展示では、オサムシの標本だけでなく、マイマイカブリの標本も。
標本だけでなく、実際に生きたマイマイカブリの姿も観察できます。
ケースの中を歩き回る姿を見ていると、「標本」とはまた違った迫力がありました。

飛べないオサムシがどんなふうに動くのかを間近で見られる、貴重な機会です。
西原さんは17年間にわたり標高ごとの分布調査を重ね、その成果をコレクションとして残しました。
小さな甲虫に注いだ大きな情熱を、展示から実感することができます。

次の世代に届けたい、昆虫たちからのメッセージ

展示されている標本には、一つひとつに小さなラベルが付けられています。
採集した日付や場所、標高、採集者の名前まで丁寧に記録されており、ただの「虫のコレクション」ではなく、研究資料としての価値を持っています。
こうした標本は、きちんと管理すれば半永久的に残り、未来の研究にも役立つそうです。

企画と解説を担当した大森さんは「次の世代に多様性や保全の大切さを伝えるきっかけになれば」と話してくれました。
展示を通じて、昆虫の美しさを楽しむだけでなく、自然を守り続けることの意味を考える時間にもなります。
小さな標本が、未来への大きなメッセージを届けてくれるのです。

常設展時は、西予市の自然をまるごと学べる!

昆虫展を見たあとは、ぜひ常設展示もゆっくりのぞいてみてください!
ここでは、西予市の豊かな自然と人々の暮らしを「海から山まで」まるごと体験できます。
高橋館長によると、西予市は標高差が大きいため、温暖な海岸部から北海道並みに涼しい四国カルストまで、驚くほど多彩な気候と地形がそろっているのだそうです。

展示では、漁業や農業といった産業と自然環境の関わりがわかりやすく紹介されていて、自然の多様性が暮らしをつくってきたことを実感できます。
夏休みのおでかけにもぴったりで、昆虫展と合わせて楽しめば、西予の自然を一気に学べる特別な一日になりそうです。

文化的景観にも選ばれた!海と畑がつくりだす西予の原風景

常設展示の「海のエリア」では、西予市がいかに海と深く結びついてきたかが紹介されています。
急に深くなる独特の海岸地形をいかして、昔から漁業や養殖が盛んに行われてきました。
真珠やハマチの養殖は全国的にも知られ、今も地域の大切な産業となっています。

また、海を見下ろすように広がる段畑のみかん畑は、西予市ならではの風景。
とても美しく、2019年に国の「重要文化的景観」にも「宇和海狩浜の段畑と農漁村景観」として選定されました。

鍾乳洞から集落まで、地質とともに生きる西予の暮らし

西予の暮らしは、大地の形と切っても切れない関係があります。たとえば、石灰岩が広がる四国カルスト。
ここでは草原が広がり、牛がのんびり草を食む光景が見られます。

地下に眠る石灰岩が長い時間をかけて溶けてできた鍾乳洞からは、縄文時代の遺跡まで発見されているのです。
自然の力が、昔の人々の暮らしにもつながっていたことが伝わってきます。

人間が地球に存在する前の地滑りでできた土地の上に集落が築かれているそう。
ただの“地質の説明”ではなく、自然と人の知恵が重なり合ってできたことが展示を通して見えてきました。
西予の風景を歩いてみたくなる、そんな気持ちにさせてくれますよ。

長い地球の歴史を1年に例えると…?

展示の中でも人気なのが「地球46億年の歴史を1年に例える」パネル。
人類が登場するのは、大みそかのほんの数分前というスケール感に「えっ、そんなに短いの!?」と驚かされます。

西予市は、じつは地質の世界でもとてもユニークな場所です。
その理由は「黒瀬川帯(くろせがわたい)」と呼ばれる地質帯に位置しているから。
ここには、なんと古生代から新生代にかけての岩石や化石が残されていて、地球規模のドラマを身近に感じることができます。

難しい地質の話も、わかりやすい展示でぐっと身近に感じられるのが魅力です。
子どもから大人まで、地球の長い歴史を楽しく学べるエリアになっています。

西予の自然と人の営みをまるごと体感しよう!

今回の「昆虫展」では、西原博之さんが生涯をかけて集めた標本から、昆虫の奥深さや研究の歩みをじっくりと感じることができました。
チョウの美しい羽や、ユニークなオサムシの姿を見ていると、小さな虫たちが実は大きな自然の物語を語っていることに気づかされます。

そして常設展示に足を運べば、西予市の「海から山まで」の自然や文化の広がりが感じられます。
昆虫の世界と地球の歴史が、ひとつにつながっていることがよくわかりました。

夏休みもラストスパート!
自由研究に取り組む子どもたちも、自然に親しみたい大人も、きっと心に残る発見があるはずです。

昆虫から地球まで。ミュージアム全体をめぐることで、西予の自然と人の営みをまるごと学べる特別な体験になりますよ。
夏休みの思い出づくりに、ぜひ訪れてみてくださいね!

『四国西予ジオミュージアム昆虫展』の情報

西原コレクション寄贈記念 四国西予ジオミュージアム昆虫展
-昆虫標本と新聞記者西原博之の昆虫研究の歩み-
会期/2025年8月20日(水)〜2025年9月8日(月)
開館時間/9:00〜17:00
開催場所/四国西予ジオミュージアム 企画展示室2
住所/愛媛県西予市城川町下相945番地
料金/無料
休館日/毎週火曜日(祝日の場合は翌平日)
駐車場/あり
お問い合わせ/四国西予ジオミュージアム(0894-89-4028)

四国西予ジオミュージアムの基本情報

【店名】四国西予ジオミュージアム
【住所】愛媛県西予市城川町下相945
【電話番号】0894-89-4028
【公式HP】https://seiyo-geo.jp/
【開園時間】9:00~17:00
【休園日】毎週火曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始
【入園料】一般500円、高校・大学生300円、中学生以下無料
【駐車場】あり

公式Facebookはこちら

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